「僕は2000年を振り返ろうと思う」 第七話「006」 (カクヨムに投稿している「騒音の怪物」の番外編)
*カクヨムに投稿している「騒音の怪物」の番外編です。
これまでのまとめ。
前回の話。
「僕は2000年を振り返ろうと思う」 第六話「005 学校」
僕は2000年を振り返ろうと思う
006
中学校の体育。
といっても僕は体育にあまりなじめず、いるのかいないのか、でも下手くそと言われないギリギリの辺りで誤魔化して生きていた。
他の文化系の子達は仲間とつるんでいたが、僕みたいな臆病者は文化系であることを隠して暮らしていた。ガンダムとかそういうものを知らなかったのもあったが、中には小説ばっかり読んでる人もいそうだったが――探すことはなかった。
探したところで、どうにかなるもんでもない。
僕はこのときから、色々なものにあきらめていたのかもしれない。
このとき部活には入っていた。卓球部だ。卓球部といってもうちはやる気があるのかないのか微妙なとこで、だからよかった。あまりノリ気じゃないけど、なるべくは部活に入りたい。
それも運動部。
でなきゃ、人と人とのコミュニティーに入れないから。
いずれ、困ることになるから。
「死んだ方がいいわね」
だが、彼女は図書館で僕を罵倒した。
「くだらない、くだらないわ――呆れた。あなた、これまで一体何を読んできたの? 『ドグラ・マグラ』も『都市と星』も読んだことあるんじゃないの?」
彼女はセーラー服を着ていた。
彼女を見るまではセーラー服をアニメかドラマの想像上の産物だと思っていた。だが、目の前にここまで着こなしたセーラー服の美少女がいると違ってくるものだ。紛う事なき真実だと疑う余地はなかった。
図書館。
駅からは大分離れ、しかし周りに人が集まるショッピングモールなんてなかった時代、近くにスーパーがあるくらいのとこにポツンと置かれた図書館。都会に行こうとしたら、住宅街の中で迷子になってあきらめてしまったかのような立地に、この図書館はあった。
中も狭い。多分、僕が授業を受ける教室と大差はないだろう。当時はこんなもんだったかな――今じゃ、市役所と合体した場所もあるが、そういうのは宇宙基地のように広くて、本棚も大量に置いてあるんだが。
ここのはせいぜい、両手の指を一回か二回、折り畳めば済む話だ。一応、不規則に並べてその貯蔵量の少なさを誤魔化してはいるが、いやあまり誤魔化せてはいないのだが、しかし、近くに他に良さそうな図書館もなく、仕方なく僕はここに通う。
いや、僕らはここに通う。
今日も原稿用紙に書いて彼女に見せた。
「というか、最近じゃワープロで打つものよ? あなたパソコンはないの?」
「あ、あるけどさぁ」
この頃はまだこの程度の認識だったと思う。
今はどうだろう。もしかしたら、このときの僕のように彼女に小説を見せて感想をもらう人がいるのかもしれない。そんな子は多分スマートフォンのメールで送ったりするのかな。それとも、パソコンのメールで送ってスマフォに転送? いや、最近じゃ小説投稿サイトもあるしな。BBSで載せたり、サイトを作って載せていた時代が懐かしい。
興味はつきないが、ともかくこのときは僕はプリンターもなかったし、フロッピーを渡して見てもらうのもあれなんで、わざわざ原稿用紙に書いて読んでもらっていた。
今自分で書いてて不思議だったが、そうか。あの頃はフロッピーなんてあったんだな。
今の僕からしたらフロッピーはマヤ文明のように聞こえるけれど、おいおい思い出せよお前の時代にフロッピーは使われているだろと改めて宣告されるかのようだ。
「最近は小説の体裁を整えてきたわね……でも、それだけよ。やはり経験不足。人生経験がないから大したのは書けない。恋愛は子供の遊びだし、SFは子供のお遊戯、あなたが書けるのはその程度よ」
「そんな……それじゃ、あまりにも残酷じゃないか」
これだけ努力しても実らない。
決定的事実をつきつけられてるようだった。
「いずれは役に立つんじゃない? あなたがちゃんとした小説家になれるか分からないけれど。でも、これが無駄になるとは思えないわ。体裁だけでも基本は基本だからね。読んだ人がどういう作品を読んだか分かる、ってそれだけで貴重よ? ……ま、それだけだと意味ないけどね」
あってないような作品は、死んだ方がいいわ。
彼女は辛辣な言葉がお好きらしい。
お菓子のチョコレートを食べるように軽く、おしとやかに、突きつける。
段々と――僕は、過去にのめり込んでいく。現在に生きる僕が過去の僕を俯瞰して書いているのを忘れて、僕は――僕というのも忘れて――過去の僕になっていく。
「――今はどうせダメなんだ――そう思って小説なんて書けないよ」
「書けないでしょうね。だから、あなたには期待してるのよ?」
彼女は言った。
「他人が勝手に抱いてる限界――それを、もしかしたらブチ壊してくれるんじゃないかって」
彼女が来ていたのは、ある女子校の制服だった。
その女子校はセーラー服を着用する義務だった。
彼女が嫌いなのはセーラー服らしい。
その理由は日によって違っていた。
男達が抱く神秘的な、もしくは聖母的なイメージの白がたまらなく嫌。だったり、もしくは拘束衣のようで嫌だとか。イロイロだ。
「何より嫌いなのは枠なの」
セーラー服を着ている少女。
そういう枠に勝手にあてはめて、キレイだとか、中にはかわいそうだとか、言ってくる輩が彼女は嫌いだったらしい。
「そんな枠……粉々にできたらいいのに……」
出来たらいいのに、と言う場合はいつも決まっている。出来ないときだ。
つづく → 第八話「007 彼女のこと」
本編。
文学系ホラーです。
最終回前に……おそ松さん、好きなあなたにおすすめのコメディ映画5!
おそ松さん、好きなあなたにおすすめのコメディ映画5!
俺は「おそ松さん」は、ニコニコ動画で見てるからね。
どうしても一週間遅いんだが……今週はどうしても、テレビで見たいね。
最終回。
いい歳してライターなんかやってんじゃねぇ! と自分にも危機迫る内容で驚いたけど。
これまでにも「おそ松さん」って映画ネタが多かったけどさ。
(冷凍庫で魚殴ってたのは肉を殴ってた『ロッキー』思い出すし、まんま『マッドマックス』が何回もあったし)
今回も「おそ松さん」に似た風刺的というか――おもしろいのも含めて、紹介したいと思います。
5作品ね!
1,ワタシもトト子ちゃん? って方におすすめ! ヤング≒アダルト!
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都会に住む37歳の主人公・メイビスは、元恋人からメールが届く。
『赤ちゃんの誕生パーティーに来て下さい』とか、何ぬかしてんだと思う内容だが、彼女は妙な妄想を抱いて誕生パーティー――実家へと帰省する。
この妙な妄想というのは、元恋人と再び恋に落ちて、某タレントよろしく略奪婚できないかなという、とんでもないものだった。
昔の同級生、オタクのマットにさえ、「お前おかしいよ」と言われる始末だが、彼女は聴く耳持たない。
で、その元恋人に彼女は自信満々にアプローチをかけるんだけど……いや、これが全然成功しなくてね。
そんな彼女が、というかアメリカに住むトト子ちゃんのような彼女が、その後、誕生パーティーに行ったらどうなるか。これはもう、語る必要はあるまい。
映画史上、最も痛々しい場面になるのである……あぁ、これは痛い。
しかし、この映画のすごいとこはそんなに痛々しい目にあっても、最後は立ち直る。
めげない! 主人公である。
いや、少しは反省しろよ! という話だが、彼女はマットに励まされ、そしたら予想以上に元気になってまた都会にもどっていく。ある意味、ここの部分だけは見習いたい次第である。
トト子ちゃんに憧れるあなたにおすすめ!
(ぶっちゃけ、これコメディって枠組みじゃなかった気がするが、まぁいいか!)
2,ニートってすばらしい! 俺たちステップ・ブラザース -義兄弟-!
コメディ映画が好きな人なら、誰もが知ってる『俺たちシリーズ』。
知らない人は簡単なので、これだけは覚えておいてもらいたい。
『俺たち』とつく馬鹿そうな表紙のコメディ映画は、当たりである。
これは宇宙の法則なので絶対である。間違いない。
どういう映画かというと、片親同士が再婚したら、それについてたニートも同じ屋根の下で暮らすことになり――最初は仲が悪かったが、次第に絆を深め義兄弟になったという話。
いや、こう話すと単純だが。
もちろん、この続きもあって、そこで問われるのはニート問題である。
この人達、表紙から分かるとおり、ほぼ40歳のおっさんなんだよね。
大人じゃない、もうおっさんだよ!
仕事でそこそこいい地位にいるはずの年齢だよ!
だが彼らは二段ベッドを作っても良い? で深夜に起き出して親にたずねて、がっさがっさ二段ベッド作りをするくらいであるからして――
でも、最後は何だかんだで就職してね。
あぁ、人並みの生活をするように見えるんだけど――最後は、じゃあ何でニート生活を続けてたのかを明確に示してくれて。
それで失っていたものも、もちろんあるけれど。
でも、得たものだってあるんじゃないかと! 堂々と提示してくれるすごい映画なのだ。
ニートになりたいあなたにもおすすめです!
3、マッドマックス 怒りのデスロード!
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コメディ映画とか、そういうジャンルはどうでもいいんだよ!
これ見てない奴はデカパン達に血袋にされちまえ!
……いや、ね。何か、真面目に書こうと思ったんだけど。……つい。
ともかく、毎日が退屈だと思うあなたにおすすめ、マッドマックス!
5,別れなど知らぬ! 絆こそ全て、にこの映画! ファンボーイズ!
ようは、「木更津キャッアイ」のような映画である。
主人公は、昔はスターウォーズにドハマリしてたドオタクであったが。
いやいや、いつまでも馬鹿やってられない。就職するよ、と。
日夜、スーツを着て仕事に明け暮れていたのだが……しかし、ある日。
彼は昔連んでいたオタク友達の一人が、余命幾ばくもない病にかかってるのを知る。
で、彼のためにまだ当時は放映される前だった映画――「スターウォーズ エピソード1」を、ルーカススタジオに潜入して、見に行くんだね!
ここで、語られるのはともかく友情。仲間、最高! である。
そう、まるで「おそ松さん」のあの兄弟たちを見るような感覚。
この、スタジオに潜入するまで――も、紆余曲折あって。
セックスしたり、対立するスタートレック派閥と戦争したり、馬鹿やりまくるんだ。
いや、ほんとに馬鹿丸出しで、何から何まで馬鹿100%なんだけど。
これもそれも、友達との思い出をただ刻みたい――ってだけなのがね。
もう、泣けるじゃないか。
好きなもののために、がむしゃらになる。
オタクなら国籍関係なく、誰もが共感できることである。
さらば、友よ! って言葉が好きなあなたに、おすすめです!
以上
ふぅ……ぶっちゃけ、見出しの使い方がようやく分かったから、試しにやってみたんだけど。
あはっ。
ま、今後も使ってみよう。以上、蒼ノ下雷太郎でしたぁ。
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