朝早くに起きてしまった。
いや、昨日電気を点けたまま寝てしまって――そのまま、起きたのだが。
時刻は五時ちょいと前。
もうこの際だからと、本を読んで過ごす。バイトまでも時間あるし、余った時間は執筆にあたろう。
読んだのは、吉田秀和の『永遠の故郷 薄明』だ。
2006年より文芸誌<すばる>で連載されていた、エッセイ。
優れた音楽評論家というのは、やはり音楽に精通しているからか文章も音楽のようだ。この人は心が清らかか柔らかいのか、温暖な日差しに包まれるかのよう――というのは、あまりにも詩情すぎたか。しかし、そう語りたくなってしまうほど詩的な文章なのである。
詩人の佐藤雄一さんが、他の人を詩人にするものが詩、だと言っていたらしい。(千葉雅也氏のツイートを見て)
詩というか、作品にはそういう感染力がある。
アウトブレイクするか、それとも違う性質に昇華し新たな才能になるか。それはまた違う話かもしれないが。音楽という、一瞬で人々に浸透させるジャンルに精通してるからこそ、このような文章は生まれたのではないか。まるで、清らかな湧き水を飲んでいるかのようだ。あ、また詩的だ。