蒼ノ下雷太郎のブログ

一応ライターであり、将来は小説家志望の蒼ノ下雷太郎のブログです。アイコンなどの画像は、キカプロコンでもらいました。

己の力のみで乗り越えろと(映画『GROW 愚郎』 感想)

 ある勧善懲悪漫画を見てて抱いた違和感。

 魔女狩りのようにリンチされる家族がいて、そこの息子が磔にされて殺される寸前のときに「お前等……いつか絶対殺してやる」ってセリフを言うんだけど。

 これ、ものすごい恐怖演出というか。

 この子供は何て悪魔なんだろう、という描き方がされてすごい違和感があった。

 いや、誰だって殺される寸前は恨むだろ?

 マジかよ、殺される寸前でさえ殺意ってダメなのか。ほんと、大した勧善懲悪だなと反吐が出ていたんだが。

 

 ま、実際に殺すってことになると、もうそこからは道徳の問題というか。

 復讐だから殺していいって法律は昔とは違ってないわけど。

 でも、殺意さえも言い方を変えればエネルギーになるわけだからね。

 悪い言い方だと恨みだったり殺意になるけど、これって良い言い方をすれば反逆精神ともいえると思うんだ。

 そう、どんな感情もちゃんと気をつければね――しっかりとした道になる。

 それを一人の人間じゃできなくても、ある一人を支えてくれる人がいれば――なおさら、いいよね。

 

 さて、映画の話である。

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 ストーリーは、すごく単純だ。

 いじめられっ子が、いじめを苦に誰もいない廃墟で自殺しようとしたら――三人の不良に止められるんだ。

 おいおい、ここは廃墟じゃねぇぞ。オレ達のたまり場だ、と。

 たまり場で自殺なんてしてんじゃねーぞと。

 で、現れた不良が上のジャケット三人である。(真ん中がいじめられっ子)

 

 このいじめられっ子を演じるのが、ドラマ『ROOKIES』で人気俳優の仲間入りをした桐谷健太。

 いや、お前かよ! と思われるかもしれないけどね。『ROOKIES』だと不良役だし。

(でもそれ言っちゃうと、佐藤健も『仮面ライダー電王』の第一話で不良に殺されかけてたし。市原隼人も『リリイ・シュシュのすべて』という映画でいじめられっ子を演じてるんだけどね)

 これは、『ROOKIES』をやる前の作品だが、桐谷健太の演技は良く、図体はでかいけど、図体がでかいからこそ気弱になったような雰囲気が感じられ、見てて納得するいじめられっ子を演じている。

 図体がでかくていじめられる奴って、大抵昔から図体がでかくて、で体をちょっとでも動かすと周りの子に被害が出て、それで怒られて~気弱になるって子が多いんだよね。いや、俺がそうだったんだけど。

 

 いや、作中ではそこまでは描かれてないが。

 ともかく気弱でいじめられて反撃することも、自分の主張を強く出すこともできなかった主人公。

 そんな彼が限界まで追いつめられてもうダメだ自殺しようと、首をくくろうとすると現れるのが、寺島進菅田俊、木下ほうか演じる、不良三人組だ。

 いや、どいつもこいつも不良って年齢じゃないだろ!? という外見だけどね。

 寺島さんとか、菅田さん、木下さんも、どれもこれも不良というかヤクザを演じてるような世代で。それが学ラン着て、番長! なんて言うもんだから荒唐無稽にもほどがあるん……だが、でも、逆をいえば本当に迫力のある番長って、これくらいの人じゃなきゃ演じられないんじゃなかろうか。

 それこそ、まだシワもよってないガキンチョにどんな説得力がある。

 この三人は、どんだけ修羅場をくぐってきたことか。

 たけし映画にも出たし、ライダーもやったぞ、こんちきしょう! と。

 桐谷健太に活を入れるのだ!

(いや、あくまで作中の話)

 

 この映画の良いとこは、直接主人公を助けには行かないってこと。

 番長三人は、自殺しようとした廃墟でしか会うことができないのだ。(これには理由があるが)

 だから、序盤たまたま不良が廃墟にまで乗り込んできたとき以外は手助けのようなことはしてない。ただ、アドバイスに徹してるんだ。

 そう、助けられるんじゃない。

 自分で助かれ!

 己の力のみで乗り越えろと。

 いじめられたか知らねーよ、この崖を乗り越えてこい精神! で主人公に接するんだね。

(いやまぁ、いじめを解決する方法はこれが正解というのはないと思うけど)

 

 しかし、主人公は根はまっすぐだったのか。

 アドバイスをしっかりと聞いて,自分で立ち向かおうとするんだ。

 やがて、その足の速さもみとめられ、陸上部でエース(だっけかな……ちょいと記憶があやうい)になるほどの実力になる。

 そして主人公は、陸上の大会にも出られるようになり――

 

 

 ま、映画だから順風満帆にはいかず、最後トラブルが起きるんだけどさ。

 そして、最後ははっきりネタバレしちゃうと、番長三人との別れがある。

 この別れがね。

 短い付き合いではあるけれど、でも、時間では計りきれない深い絆で……だからこそ、最後のシーンはホント泣けてね。

 大規模映画みたいに泣かそうと思って泣かすんじゃないけど、でも、感情が限界まで高ぶって、高ぶって高ぶって、そして涙に至る――そう、感動とはこういうことを言うんだという教科書みたいな映画でした。

 

 

 そして、一人前になった桐谷健太は転校して彼も不良に――は、また別の話。いや、ならないけど! ならないけどね! そう思って見ていただくと、余計に感慨深い映画じゃないかと。

 ルーキーズの前に、これを見よ! という映画でした。

 

 

 

 

 次回予告

 

 これ、意味あんのか。次回予告ってやると、書かなきゃってプレッシャーが強くなって逆効果に思えるんだけど、実際どうだろ。

 意見あったら、コメントください。

 てか感想ください。お願いします。

 

 ともかく、次回は『わたしの赤ちゃん』を紹介したいと思います。

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 日野日出志って人はあんまり詳しくないんだけどね。

 映画で使われる作中劇が、どう上手く使われたかを語りたいと思います。

 

 以上、蒼ノ下雷太郎でした。