蒼ノ下雷太郎のブログ

一応ライターであり、将来は小説家志望の蒼ノ下雷太郎のブログです。アイコンなどの画像は、キカプロコンでもらいました。

こういうのが、見たかった(『激動の1750日』 感想)

 集団抗争というのは、ようするにたくさんの人が、殺し合うのだが。

 これが現実でやられるとたまったもんじゃないが、映画や小説の中なら問題ない。

 ……いや、これ、現実の事件をモデルにしてるけどさ。

 あぁ、俺もアウトレイジのあの刑事と同じである。

 どんな言い訳をしても意味ないから言うが。

 こういうのが、見たかった。

激動の1750日 [DVD]

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 実在の事件、山一抗争をモデルにした映画。

 いや、流石にコレかなり盛ってるよね……と信じたいとこだが。

 

 話は、構成員一万二千を誇る神岡組の跡目争いという、非常にシンプルなもの。

 だが、幹部みたいなのだけでも87もいて。

 出てくる役者も、中井貴一、中条きよし、 萩原健一、渡瀬恒彦、中尾彬陣内孝則と、個が強い面々が登場する。

 油、油、油という濃い、濃い、濃厚な人間ドラマが炸裂。

 だからこそ、それに火がついたらとんでもない。

 

 最初はあらかじめ決まっていた跡目がいたのだが、警察が今がチャンスとその跡目を脱税容疑で逮捕し、その間を違う奴が代行を務めるのだが、その代行がこのまま俺が跡目になる! ヤクザの王に俺はなる! みたいなことを宣言し、それに賛同する者、それに反対する者と、組は大きく二つに分かれることになった。

 賛同した奴らは、言ってしまえば年取ったおっさん達。古巣組といえばいいか。

 で、反対したのは中井貴一演じる人物などの若手組

 数だけで言うなら、古巣組の方が圧倒的なんだけど。

 若手組は死んだ組長の奥さんである姐さんの協力を得ていてね。ほぼ強引に、跡目を若手側が祭り上げた人物に継がせようとする。

 それに反発し、古巣組は全員神岡組からぬけて、八矢会として独立するのだが――

 

 最近俺が見たのでいうと、『アウトレイジビヨンド』になるが。

 あれと比べるとウェットがやや強い印象がある。

 だがそれは、日本映画の悪習、見ていてかゆくなってくるお涙頂戴にすることはなく、むしろやられたらやり返すという激情を、より強く動かすことになる。

 『アウトレイジビヨンド』の映画評でライムスターの宇多丸さんが言っていたが、日本のヤクザは他のとは違い、日常茶飯事のように拳銃をぶっ放すわけじゃないが、しかし、ある一線を越えると途端爆弾が爆発したように暴れ出す。

 後半はもう、車が吹っ飛び、銃弾が飛び交い、血が何度も噴き出るっていうね。

 宇多丸さんのリスナーはがきで、ヤクザの車は彼らの権力やら何やらを象徴すると言っていたが、それがもうカーチェイスしながら拳銃をぶっ放すのを見ると、どういう戦いか分かりやすいのではあるまいか。

 

 ネギまもびっくりの人数で抗争するが、人物の個性も強く、話しも分かりやすいので、見ていて戸惑うことなく爽快、なおかつ胸にくる。

 個々の鉄砲玉を無意味に描くことはなく、ちゃんとそいつにはどういう奴か、親しい奴がいるかも、しっかり描いていてね。

 父親が入院したから母親がヤクザになった子供を連れて帰ろうとするんだが、中井貴一もそれを承諾するんだが、次のシーンで鉄砲玉の襲撃に子供が死んでね。で、その子供を殺した奴にもストーリーがちゃんとあったりして……。

 子供の葬式の際、『かえれ……か、え、……れ……』と、怯えてるのか。それとも、悲しみが強いのか。震えながら、中井貴一が焼香する中、言っててね。印象深かった。

 良作です!

 レンタルビデオ屋で、棚で横にして並べてあったから、試しに借りてみたが。

 いやぁ、よかった。

 以上、蒼ノ下雷太郎でした。

 した!