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蒼ノ下雷太郎のブログ

一応ライターであり、将来は小説家志望の蒼ノ下雷太郎のブログです。アイコンなどの画像は、キカプロコンでもらいました。

第十八話 「密室殺人②」 (解決編でもあります。一応、最終回みたいなもんでもある)

7start番外編

 はじめに

 *スマホだと一部表記が乱れる可能性があります。

 

  カクヨムやなろうに投稿している『7start 2.0』の番外編です。

 

 これまでのまとめ。

I’ll まとめ (7start 2.0 番外編)

 

 前回の話。

I’ll 第十七話「密室殺人 ①」

 

 本編

 

 第十八話 「密室殺人②」

 

 053

 

「もう、アリカちゃんカワイイ! ベリーカワイイ!!」
「………」


 シャケとリスが来た。
 シャケは桃色のふわふわした髪の毛を左右に振り回し、アリカに抱きつき、奇声を上げていた。


「まぁ、いつもぼっちのこいつには珍しいよね」
 対称的に、眉をしかめていたのがリスだった。


「……ぼっちじゃない」
「ぼっちじゃん」
「ぼっちじゃない」


 アリカはそっぽを向いて、シャケにわしゃわしゃと頭を撫でながら、ブツブツつぶやく。
 リスはアリカを凝視しながら、眉をしかめてつぶやく。
 相反するって、こういうことを言うのかと感心してしまう。

 ……いや、そういうことはどうでもよくて。

 

「それより事件だよ。一体、どうやって解決を」
 まさか、事件の謎を全て一気にといてくれるような能力があるはずが。
「ふふっ、実は全てをまるっとまとめて一気にとく能力があるんだよ」
 と、シャケが自信満々に言った。
 僕は戦慄する。


「ま、まさか……」

 

 054

 

 そんなことはありませんでした。

 

「何でなのっ!?」

 シャケは戦慄した。

 

               (interface_guide)
            ミステリーを生半可な気持ちで
        書こうとした馬鹿なら、能力でとけるでしょうけど
               現実ですしねぇ。
               (/interface_guide)

 

 ガイドはため息をつくように言った。

 いや、シャケの能力というのは確かにすさまじくはあったんだ。
 それこそ、このキャンピングカーやその周りだけじゃなく――周囲、大通り全体をさわがしそうだったほど――いや、全力でやればだけど。彼女に制御してもらって、一〇〇Mだけにしてもらった。本当はもっと範囲を広げたかったのだが……仕方ない。


 シャケの能力。

 彼女は『場所の記録再生』と呼んでいるそれは、彼女が指定した場所の過去の映像を、映し出せる能力である。

 

 そう、ミステリーだったらありえないような破格な能力。
 ただし、彼女の能力は領域がかなりポイントになっていて、例えば建物だったら、建物の中と外、どちらかしか一度に再生できない。


 だから、今回はキャンピングカーの外を再生してもらったのだ。目撃では出た人はいないと言われているが……もしかしたら、能力か何かで、見えないように抜け出したのかもしれないし、もし車の中だけを再生しても行方を追うことはできないだろう。だから……。


「な、何も変わってない……」
 シャケは絶望にくれて四つん這いになる。
 彼女が映し出した映像は、何時間前のを早送りのように映しても車の様子は変わらない。細かく見ても、だ。注意深く見ても……変わらなかった。


 過去の映像は、僕らにも可視化される。
 まるで立体映像のように映し出されるのだが……。


「ないよ!」
「……ない」
「……ないね」


 僕ら四人は、全ての角度に広がって観察した。
 ちなみに言っておくが、車の下も――上も、見た。
 建物の屋上にのぼり、上から車を見下ろした。
 逆に、建物の下にもぐりこんで、ずっと観察したりもした。
 どっちも……何時間前から映し出しても、表示されなかった。
「何なの、これは」
 リスは恐怖すら覚えた。寒そうにカラダを振るわせる。
「………」
 アリカだけは毅然としていた。
「あわわわっ……」
 シャケは自身の能力が通用しなかったことにショックを受けていた。
 いや……今回の場合は、彼女に非があるのではないと思う。これは……何なんだ。この事件が異常なのか。

 

 ちなみに、車の外側を再生すると車の中は再生されない。
 ようするに、車の窓から中をのぞいても映像が表示されることはない。
 ありとあらゆる可能性がつぶれた……。


「で、でも、もう一回やれば」
「……ガクッ」
 シャケは倒れた。
「この能力、莫大な体力使うくせに、領域の区分けがものすごい厳しくてね」
「……建物の外を映し出したら、少なくても明日までは建物の中を映し出せない」


 その言葉に僕は頭をかかえる。
「……ぬぁぁぁっ……」
 そんな時間あったら、誰だって逃げられる。
 下手したら、証拠隠滅だってするかもしれない。

 

 055

 

「……応援は呼んである。でも、こんなわけ分からないの、応援来てもあんまり意味ないね」
 リスは言う。
 優れた能力者は他にもいるらしいが、それは他の話であって……殺人事件に有用なものは、限られるだろう。
 殺人事件の調査に使えるのは。

 

              (interface_guide)
          アイルの能力も全く使えないですしね。
              (/interface_guide)

 

 ホントだよ。自分でも、カラダの一部を硬質化できるなんて――と思っちゃったよ。ぬぅ。
 ……しかし、どうするか。四の五の言ってられない。
 早く解決しないと逃げられる可能性がある。もしかしたら、犯人はどうにかして逃げ出したのかも……。


「そういえば、瞬間移動の能力者がいるっての聞いたことあるよ?」
「そこまでいくと、どっちみち追い切れないよ」
「……遠くに逃げたとしても、お金を盗んだ動機が意味不明だし」
「ぬっ」


 そう、例えお金をいっぱい盗んでも、あとあとVによって番号を特定され使えなくされるのにだ。
「車から抜け出したのは被害者だけだよね」
 中年のおっさん。
 こいつだけ。
 一度、何なら過去の記録再生を今朝まで時間をのばすかと――やってみたのだが、車から出たのは被害者だけだった。

 ちょっと、お腹がふくらんだように見えたが、それ以外はとくにない。
 いつまでやっても、被害者が出入りしてるだけ。
 窓にすらささいな変化はない。


「……整理する」
 アリカは事件の謎を整理した。

 

①何故、被害者を殺したのか?

②どうやって、車から抜け出したのか?

③何故、お金を盗んだのか?

④そして、そのお金は今どこにあるのか。

 

「お金はいっぱいあったんだ。こいつのお兄さんが有名族に所属していて。Vの傘下のね。だから、いくらか分け前をもらえた。そのくせ、やることが多少の飲み食いと、真向かいで働いている女性を見つめること……しかも、恋人がいるのにね、その女性」
「こらこら、眉をしかめない」
 正直、それくらい悲しい内容は僕にも通じる。
 ちょっと、他人事じゃなかった。

 

                (interface_guide)
                やーい、ぼっち。
                  VR人。
                (/interface_guide)

 

 こいつ……スクラップにしてやろうか。

 

 056

 

「もーどーすんのよ! わけ分からない! 密室もだし、お金も! あんなの盗んでどうすんのよ。番号が公開されて、指名手配されたら、使うこともできないじゃない!」
 使ったらすぐ捕まると……ぷんすか怒っているリス。
「……あ」
 だが、アリカは何か分かったようだ。
 リスの背中を叩き「意外と使える」とつぶやいた。
「……はい?」
 リスは、本気でわけ分からんと疑問符を浮かべた。

「……そうなると」

 アリカはホルスターから拳銃を取り出し、セーフティを解除した。
 彼女は車のドアを開けて、中にいる死体――死体のおっさんに、銃口を向けた。
「ちょ、アリカ?」
 僕は困惑する。
 おいおい、おかしくなって死体に八つ当たりかい。流石にそれはないよと、止めようとしたが。

 

                 (interface_guide)
                 あぁ、なるほど。
                 (/interface_guide)

 

 と、ガイドは納得していた。
「???」
 リスは僕と同じく疑問符だらけなのだが。

 ――銃声っ。

「「アリカ!?」」
 僕とリスは彼女を止めようとする。
 いや、撃ったあとに意味がないのだが。ともかく、腕をおさえようとしたら。
「うぎゃああああああああああああああああっ! あ、あぶねー! 何すんだよ!?」
 と、死体が暴れ出した。
「「……は?」」

 

 057

 

 結論として、被害者のおっさんは生きていた。
「彼の能力は肉体操作。肉体をどうとでもいじれる。……珍しい、やろうと思えば顔を変えることも可能らしい。彼女の家に忍び込んだのもこれのおかげか、もしくは指を鍵のカタチに変えたのか」
「あのごめん、未だにわけ分からないから、順序で説明して」
 いきなり彼女の家って単語が出て、とまどう。
 な、何のことを言ってるのか。


「………」
 はっ。
 と、鼻で笑うようにアリカは説明する。


 い、いや、そこまで苛つかなくてもさ。眉を顰めて不機嫌そうにまでしなくても。
「………」
 リスはこめかみを引きつらせていた。


「ようするに、こいつは死んだフリをしただけってこと。そうすることで、架空の犯人をでっち上げたかった。お金を大量に盗んだ奴がいるっていうね。で、そのお金はどこにあるのか。この男が、あの真向かいの店にいる女性――彼女に疑いがかかるように、店の中に隠しておいた」
 縄で縛り上げられた被害者――じゃなかった、犯人のおっさんに問いかけるように言ったアリカ。
「……はい、そうです」
 涙をこらえながら言う、おっさん。
「「………」」
 いや、僕とアリカは説明を聞いても、まだ理解しきれていない。
「ようするに、……領域を間違えなきゃシャケの能力ですぐ犯人が分かったんだけど」
「ちょ、待ってよ」
 リスが止める。
「何でそんなことしたの? 彼女に迷惑がかかるだけじゃ……あ」
 自分で言って分かったようだ。
「そう、こいつは迷惑をかけたかった。片思いの女性に……恋人がいる、片思いの女性に、迷惑をかけたかっただけなの」
「本当に死んじゃえよ!」
 リスは怒声を浴びせる。
 犯人のおっさんはひぃと声を上げる。
「そ、そんな事件に僕ら振り回されてたの」
「ちなみに第一発見者も無関係。あの人、ほんと運が悪かっただけだね」
 あ、第一発見者は今どうしてるかというと、途中逃げ出そうと試みてたので、気絶させて近くに寝かせてある。
 ちょっと、ひどいことをしたかもしれない。
「……あ、で、彼女の家に忍び込んだのか」
「そ、今朝抜け出したのが多分それでしょ。妙に腹が膨らんでたのも、そう。多分、能力でお腹に隠してたんじゃない? あまり想像したくないけど……」
「でも、わけ分からない。迷惑をかけるためだけに、ここまでやる?」
 それに、死体としてシラを切るのは相当大変だ。
 流石に鑑識まではVにはいないし、検死もできない。でも、多少の調査はする。呼吸も肉体操作でごまかしたのだろうが……あれって、ずっと誤魔化せるかな。
「途中で、抜け出そうとしたんじゃない? いや、そうしたら誰が犯人か分かっちゃうと思うけど。正直、ここまでしてやることじゃ」
「ひ、必要だったんだ……」
 と、犯人がクチを開いた。
「お、俺が死ぬことで……な、何かが変わるんじゃないかと」
 恋人がいる真向かいの店の彼女や。
 彼の兄が。
 何か、反応するんじゃないかと。
「迷惑だっての!」
 リスは犯人の頭を叩いた。
「………」
 僕は、少しだけ気持ちが分かった。
 彼の気持ちが分かるからこそ、この世界に来たようなものだ。
 そう、この現実世界に。

「ともかく、こいつ連行しよ」
「よし。……ま、とりあえず解決だね。ほら、シャケ! いつまで落ち込んでるの! もう、事件は解決してるよ!」
「……ふふっ、いらない子……シャケ、いらない子……」

 そう、彼女らと……しばらくは続けていくと思う。この現実世界の生活を。

 

 END

 

 あとがき

 以上。

 しばらく、更新遅れてすいません。

 これをもって、I’llは更新を一時停止とします。……いやだって、アクセス数がね。

 まことに申しわけありません。

 応援してくれた方々、どうもありがとうございました。

 

 

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