……世界は残酷である。
進撃の巨人(実写版)でも言っていた。
俺は何度でも宣伝するぞ。世界は残酷なのである。進撃の巨人(実写版)で言っていたのだ……。
都会の喧噪につかれるか。
つり革をにぎり、電車に揺られて、夜、家に帰宅する。
このとき、たまらなく嫌な気持ちになる。
電車を降りて雑踏にとけこんで、嫌な気持ちになる。
コンビニの店員が愛想悪かったり、公共トイレに行ったら流されてなかったり、鳥の糞が落下したり。嫌な気持ちになるものは山ほどある。
そういうとき人は、芸術にいやしを求めてきた。
だが今は芸術戦国期。
星の数ほど作品がある。文字通り、掃いて捨てるほどある。
そんな動乱の中に入りたくねーよ……現実で戦ってるのに、逃げ込み寺で戦いを見せられるなんて……と、思ってるあなた。
あなたにふさわしい本がある。
………。
どうしたのだ、雷太郎?
そう思った方が何人かいるんじゃないか。
いつも、映画の紹介をしたり。
映画の紹介をしたり。
……そんな俺が、急にどうしたのだと。
クラゲ?
そう、クラゲだ。
『海月姫』っていいよね。
いや、違う!
少女漫画からではない。すごい、分かりにくいネタでいうとタイプムーンの月姫設定資料から――いや、そこからか? いやいや、それからでもない! 分からない人いると思うけど、ともかく違う!
……いやし。
そう、癒しを求めたのだ。
都会の喧噪につかれ、癒しを求めていた。
いや、ダさいたまが何言ってんだ。都会面すんなと思った方もいるかもしれない……。
……ちがうんだ。どう思われてもかまわない。ただ単純に俺は、クラゲを見たいと思ったのだ。
ある、偉大なる冒険家・コイワイヨツバはクラゲを見て言った。
命ってなに?
知らんがな……。
えーと、何が言いたかったんだっけ。
……あ、クラゲって調べてみると、けっこうおもしろいんだよね!
この本の著者、三宅裕志は自身の上司(なのかな?)の柿沼好子に、「とりあえず、ミズクラゲのポリプを飼育してみなさい」と言われてやってみたのだそうな。
すごい、軽いキモイだ。
ライトノベルだ。
……いや、違う。
で、顕微鏡でポリプを見たら色々な発見がありおもしろかったため、ついにはクラゲの本間で出すほどになったのだとか。
この本に出てくるセリフを引用しようか。柿沼好子氏が、環境生物学という学問に関して言った言葉だ。
「生物は極限の環境に置かれたときには、決してあきらめずに、極限まで生きる道を探して生きようとする。だから、極限環境に置かれたときにその生物のほんとうのすごさがわかり、生命の秘密を解くカギが見える。刺胞動物は単純な構造をしていて環境変化に対する応答がはっきり見えるから、環境生物学をするには非常に優れた生き物なのだ」(「クラゲの不思議」 P66から引用)
魚が泳ぐのも、クラゲがふわふわ浮かぶのも、全て意味がある。
進化は適応の歴史。
ということは、そこにはどんなものも論理で定まっているはず。偶然などない。進化するしか生き残れなかった――という必然性があるはずなのだ。
(ちなみにクラゲには二種類あって、一つが「刺胞動物」といわれるもので、その名の通り刺す細胞。イソギンチャクやサンゴと同じである。(もう一つは有櫛動物、これが一般的にいわれるクラゲらしい))
本書によると、クラゲは約五億万年前から出現していたことが化石で分かっているらしい。それから、姿・形がほとんど変わってないのだ。
変わってない。
恐竜が栄え、滅び。人類が誕生し、人類が戦争してる間も――何も変わらなかった生物。
それは、最初から生物として洗練された――完成された形だったからではないのか。
不老不死のようなクラゲはいるし。
誰かにべったりついて生きようとするクラゲもいるらしいし。
本書を見ると、ああ、ほんと生物って面白いんだなと感じさせる。
不老不死のようなって、ほとんど漫画じゃないか。(いや、他にもいるだろうが)
たまにはこういう本を読むのも悪くないと思った、蒼ノ下雷太郎であった。
ワタシの不思議。俺の不思議。いやいやそれよりも、クラゲの不思議ってことでね。
いや、全然オチてないが! ともかく、蒼ノ下雷太郎でしたぁ。