ホント、怪獣ってすばらしいですね(「GODZILLA ゴジラ」のギャレス・エドワーズ監督の初長編作品『モンスターズ/地球外生命体』の感想)
ブックマークのコメント、最近気付いた。
やっぱり、コメントがあるのはうれしいですね。ありがとうございます。雷太郎はみなさんのコメントによって生かされております。
……いや、その割には最近あまり更新してなくね。
数行で終わりのとか多くねと、言われたら何も言い返せないんですが……。
だ、だって……その(言い訳)
ほんとは、昨日書こうと思ったんだけど、【モンスターズ/地球外生命体】の感想を書きたいと思う。
ごめん、全然まくらになってない。
昨日というと。
金曜ロードショーで、「GODZILLA ゴジラ」やってたね。
そう、「GODZILLA ゴジラ」の監督、ギャレス・エドワーズの初長編映画が、この映画だ。(初だよ、初)
しかも、かなり低予算で撮られたらしい。初見は全然感じなかったんだけどね。
でも……あとあとになると、あ、確かにって思うとこはある。
ぶっちゃけると、怪獣が全然登場しないんだよ。怪獣映画なのに。
この映画は、メキシコに怪獣が降ってきたって設定なんだけど。
主人公はカメラマン。仕事でメキシコに来てたんだ。
だが偶然にも、彼が所属している会社の社長令嬢もメキシコにいると伝えられる。だから、HEY、YOU。俺の娘を連れ戻してくれYO! と頼まれちゃうわけだ。そんなの、めんどくせーと断りたいワケだけど、断ったらクビだろう。何せ、自分の娘が怪獣のいる国にいるのだ。血眼で連れ戻せと言ってるのだ。……仕方なく、その仕事を引き受けるんだけどさ。
なるべく、なるべく安全な道を通ろうとするんだ。
頻繁に出てくる軍用ヘリ。
道路を横切る戦車
荒れ果てた道、廃墟になった村、水没した村――
TVをちょっとつけると、怪獣のニュースが伝えられる。
怪獣に会ってないのに、ああ、この国は怪獣でめちゃくちゃなんだとアリアリと実感する。
そんな中、どうにか港についてこのままアメリカ行きのフェリーに、となる。だが、提示された金額は高い。いや、それでも払う。よっしゃ、これでどうにかと思うんだが、翌日、一晩寝た女に令嬢のパスポートを奪われる。そしてパスポートがないと乗せられないと断られ、しかも出した金は返さないときた。じゃあ、どうすりゃいいんだ。このまま、ここにいろってのかと聞くと、違う道があるらしい。
――安全じゃない道だが、と。もう一つのルートを教えられる。
(実は最初に二つのルートを提示され、真っ先に主人公達が断ったルートだ)そう、怪獣が出るかもしれないルートである。
(フェリーは怪獣なんて出ないルートだったのに……)
しかも、安全じゃないルートも金がかかると言われた。
道案内の金や、賄賂、また武装した護衛を数名を雇うために必要だと――ふざけんなと主人公はキレ、アメリカに行ったら払うよと言うが、そんなの信用出来るかと返される。でも、金がねえよ! どうすんだってことになるんだが……仕方なく、令嬢が指輪を渡すことで解決する。
だが、そのルートは行き当たりばったりで、異国の言葉だから何言ってるか分かりにくいが、あきらかに道案内人が交渉でもめてたり、ボートで故障したとか言ったり――それでも進むんだけど――
まあ、これ以上書くとネタバレになりそうなんで、やめとくけど。
俺の文章で伝わるかな。
最初は怪獣映画だと思って見てたら、段々と(……これ、怪獣映画っていうよりドキュメンタリー映画じゃね?)と思えてくるんだ。
そう、現実にはない非日常ではなく、現実そのものにしか見えなくなる。
怪獣映画や――現実にはありえない異形なものを出そうとする場合、こういう現実にあるように見せる技法はとても大事になる。
これは、切通理作さんの本でも書かれてるね。
ゴジラが最初、ぬっと現れる場面。
これに世界中の人がおどろいたが。冷静に考えると、これに出てくるゴジラってきぐるみなんだよ。それを、まるで現実にあるかのように見せる――そう、ギャレス・エドワード監督がゴジラの映画監督に選ばれたのも、これが理由なんだよね。
だから、怪獣が全然登場しない。序盤にビデオカメラの視点でちょろっと出ただけで、あとはTV画面か、後半までは全然登場しない。――だが、それ以上に、怪獣がそこにいるんだというリアリティを緻密に構築していく。
それが、軍用ヘリだったり、怪獣によって被害を被った村だったりする。
しかもこの映画のすごいとこは、それだけで終わらないとこなんだ。
主人公達は危険なルートも、どうにかゴールに到着する。
アメリカはメキシコとの境に、巨大な砦をつくるんだね。万里の長城みたいなものさ。アメリカを守る盾として作ったんだろうけど、それをメキシコ側から見ると印象がとても変わると、主人公達は言うんだ。そう、この映画はただ怪獣から逃れるだけじゃなく――それよりも怖い者。アメリカ――というより、巨大な力を持った国の方が怖いと言うことを、ありありと見せつける。そう、一番の怪獣は外から来た宇宙生物じゃない。国なんだと。
それが明確に現れるシーンは、随所に見られるんだ。
砦に来たときや。
それ以外にも、港で一夜をすごす間に、近くで礼拝堂(だっけか?)があるから主人公達は撮影に向かうんだ。そこで見たのは、アメリカの空爆に巻き込まれて死んだ人々の墓があった――
他にも、ジャングルを通るときに木岐を燃やそうとした、こととかもね。
と、ここまで語ったが。
何もこれはアメリカだけじゃない。巨大な力を持った国が――数え切れないくらいの人が集まった塊が、どれほど恐ろしいかを表してるといえる。そう、主人公達もメキシコで大勢の人達に会い、人間がどういう行動を取るか、ありありと見せつけられた。いや、監督がそれを伝えたいかは分からないけどさ。でも俺は、単なるアメリカ批判には見えないんだ。
いや、死から逃れようとするのは悪いことなんかじゃない。
それを批判することこそ、冒涜といえよう。生きることを悪いと言ってるようなものだ。
だが……それほど純粋な行動だからこそ、人の本性がありありと見えてね。
アメリカの砦といい。
フェリーのときといい。
危険なルートを通ったとき、主人公達は無事に生き延びたけど、怪獣に殺された人達もいたんだよ。護衛も殺されたし。
アメリカにくるまでありったけの地獄を見せられてね――しまいには、アメリカを出ても怪獣がいるのを知って、だけど――最後には、(あ――)と、クチを大きく開いてぼけぇーとするような、純粋なものに出会うんだ。
そこに至るまで、散々地獄を見たからこそ。
汚いものを見たからこそ。
感動するような純粋な行動。光景。
皮肉にもそれは、主人公達が最初は一番恐れていたものだった。
――とまぁ、怪獣映画とひとくくりに言える映画だけじゃなく。
ドキュメンタリーの要素や、風刺、さらには恋愛要素まである映画でね。
これを見ると、ああ、そりゃゴジラに選ばれるよなと誰もが思う映画だ。
ホントに、怪獣ってすばらしいですね。
ここまで語っておいてなんだけど、俺「GODZILLA ゴジラ」は好きじゃないんだよね。うん、ごめん。ほんと、ごめん。ただ、「GODZILLA ゴジラ」が好きじゃないだけで、モンスターズは好きなんだけど。
(いやだって……あの息子、ハリウッドヒーロー気取りしやがるから、いけすかない)
ちなみに、ムートーは最高だと思う。
たまにムートーの悪口言う奴いるけど。そんな奴は電磁パルスで焼かれちまえばいいと思うよ。
ホント、怪獣ってすばらしいですね。
……ガガガに送る奴、校正してるのに長引いちゃった。以上、蒼ノ下雷太郎でしたぁ。