映画を見てる見てるって言う割には、案外有名な作品を見てないことが多く、それが『シャイニング』であったし、『地獄の黙示録』である。
そして、鶴田法男監督の『予言』もその一つだ。
つのだじろう原作の「恐怖新聞」を現代風にアレンジしたらしい。
(東宝 映画トピックス)(恐怖新聞は、『おそ松さん 10話』でもネタになってるよね)
俺がこの映画を見るキッカケとなったのは、山川賢一さんの『成熟という檻』だ。
これは、『魔法少女まどか☆マギカ』の評論なんだが、山川さんの評論にはある作品を語るとき、その作品に影響を与えたと思われる作品、もしくは関連したものを強く語ることがある。それで語られたのが、昔流行っていたJホラー映画なんだよね。
で、その中に確かこれも含まれていた。
(他にもう一つ、この映画と関連した一作で、『感染』もあるが)
あと、これ『世にも奇妙な物語』も関係してるのかな。予言って……あの、インド人の大予言? いや、大分種類が違うか。ちょっと、ネットで検索しても出てこなかったけど。
あらすじは、ある夫婦がダンプカーの事故に巻き込まれて、愛娘が死んでしまう事件から始まる。
偶然が重なった結果、というべき事故だったのだが、夫である里見英樹はたまたま電話ボックスの中にいて、妻である(これ、酒井法子が演じてる)里見綾香は娘のシートベルトが外せなくなり、ちょっと夫に手伝ってもらおうと車の外に出た直後だったんだね。
次のシーンで、ドッーンとダンプカーが車を轢く。
壮絶的なシーンだが、実はその出来事は事前に予告――いや、予言されていたのだ。里見英樹が電話ボックスにいるとき、タウンページのある辺りに新聞を見つける。その新聞には、娘の死亡事故の記事が載っていた。そして、その通りにダンプカーは娘を轢き殺した。
で、数年後。
この事故がきっかけで夫婦は離婚したらしく、夫はやる気のない高校の教師かな。をやっていた。で、逆に奥さんは何と夫が見たという予言を記した新聞を調べるため、霊能力者の研究を行っていたのだ。
物語は転々と進み、あのとき見た新聞を知る者が現れ、どんどん謎は解かれていくようなんだけど――
『成熟という檻』で語られたJホラーは、人間を支配する無意味な法則や秩序のモチーフをさかんにとりあげていた(引用)、である。
そう、一種のゲームのような感覚だ。
これこれ、こういうルールがあり、このルールに従うか抜け出さないかしないと死にますよ。という、デスゲーム。
ただし、この場合は従っても従わなくても死ぬ場合がほとんど。自分の家にいきなりわけ分からん家族が入り込んで好き勝手に暴れる不条理な戯曲があったが、これは人間ではなく世界、マミさん風に言うなら、世界の勝手な理によって行われている。
この映画は、一度どん底まで挫折した男のSTAND UP(立ち上がる)映画でもあった。
主人公は懸命に提示されたルールに抗おうと戦うのだ。途中、娘を助けられなかった罪悪感から、もういいとあきらめていたが、奥さんは夫の忘れられず、自分で研究を進めていた。次第に二人は以前のような関係を取りもどし、寄生獣のシンイチくんよろしく一夜を共にする。生きよう、と強く願うのだが。
もう、この作品はとことんまで主人公・里見英樹を追い詰めて、最後は無間地獄を味会わせるんだが――しかし、最後の最後で、もう泣けるシーンがあってね。
ロッキーのように立ち上がる映画だけじゃなく、ショーシャンクのように泣ける映画でもあった。そして最後は、家族のために命を賭けて抗おうと、まだ自分には抗う手段があると、最後の選択を取ってね。
そこがまた、まどマギっぽいんだが。いや、ネタバレか。
ともかく、おすすめです。名作でした。
酒井法子さんがみられる映画でもありましたし、いや余計か。
あと、随所の演出などが、やっぱうまい。
ジャケットがこれだから、最初は幽霊がばんばん出るかと思ったんだが。(それっぽいのは確かにいたが)
実際は幽霊よりも、絶対的な法則による恐怖なんだよね。
舞台自体は誰もが共感できそうな、フツーの夫婦で、日常だったんだけど。
それこそ、ヤクザや国家よりも強大で無敵の、世界の法則が相手という絶体絶命の状況。
ただ、新聞が出るだけなんだけどねw
それにどう抗うかってのが、とても心震えました。
以上、蒼ノ下雷太郎でした。した!
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