蒼ノ下雷太郎のブログ

一応ライターであり、将来は小説家志望の蒼ノ下雷太郎のブログです。アイコンなどの画像は、キカプロコンでもらいました。

I’ll 第八話 「殺す」 (7start 2.0 番外編)

 はじめに

 *スマホだと一部表記が乱れる可能性があります。

 

  I’ll (カクヨムに投稿している『7start 2.0』の番外編です)

 

 これまでのまとめ。

I’ll まとめ

 

 前回の話。

I’ll 第七話「戦い」

 

本編

   I’ll 第八話 「殺す」

 

                <三人称視点>

 

 ヒビキは、パッーン――と乾いた音を聴いた。


 それは、とても耳慣れたものだ。
 彼らは目や耳がいいから、拳銃の音を聞き分けることができる。

 例え同じ口径の弾丸だとしても、銃の構造や場合によっては撃ち手によって変化するという者さえいる。


 ……あれは、仲間が持っていた拳銃だ。


 三番街の族『V』の下っ端を誘拐し、小屋で監禁していたはず――ヒビキは慌てて小屋にもどろうとする。
 彼は今布を巻いた靴で移動していた。布を巻くのは足跡を隠すため、だがこれだけじゃ痕跡は残る。そのため、折れた枝や落ちた葉っぱを――足下を常に確認し、不用意に破壊しないように心がける。本当は地面の上にも残したくない。靴底だけじゃなく、足のサイズや足跡がどれくらいの深さだけでもおおよその体格や身体能力が把握されてしまうのだ。
 これは人類史ではトラッキングという技術の一つだが――


「何だっ!?」


 彼の周囲で、枝や葉っぱが急に浮き上がった。
 あともう少しで小屋に着くというときにだ。
(な、何でこんなっ――)
 彼はそのとき反応に遅れてしまった。
 その代わり、一瞬走馬燈のようなものが見えてしまう。

 

 ――あのとき
   ――四番街の者に
     ――誘われて
       ――俺は

 

 舞い上がった木の葉や枝――彼のいる場所だけは、彼の体の部分だけ何もなかった。  透明の能力者。彼がいる部分だけは、透明だった。
 銃声。

 

 025

 

「……やったか?」

               (interface_guide)
             教えてあげましょうか?
               (/interface_guide)

 

 ……どうせ、また規則とか言うんだろ。

 

               (interface_guide)
        これぐらい教えてあげてもよかったのに。
               (/interface_guide)

 

 どういう基準でやってるんだよ。
 いいよ、お前なんかの助けは借りたくない。
 ――今ので、胸には当たったはずだ。もしかしたら、ガードしたか?
 いや、その程度で拳銃を防げるか。

 

               (interface_guide)
                グロック17。
       人類史にあったオーストリアの会社が製造した拳銃。
      口径は9mmで、その素材ゆえに環境での適応にすぐれた――
               (/interface_guide)

 

 どうでもいい。
 これで、敵は倒し終えた。今はもう、必要のない情報だ。

 

               (interface_guide)
            まだ、倒し終えてませんよ。
               (/interface_guide)

 

 その文字に僕は驚愕する。
 確かに、木の葉や枝の中――透明の感覚が動いている――気がする。ダメだ、早くて見失ってしまう。
「ああっ――」
 リスが倒れた。
「リス!?」
 慌てて駆け寄る僕。
 息が苦しいしく、床にへたりこんで胸をおさえていた。

 

              (interface_guide)
         緊張下におけるストレスが原因でしょうね。
              (/interface_guide)

 

 僕はガイドの言うことに反応する。
 ダメか――しかし、文句は言ってられないか。
 クジラは死んだばかりだし、その上、この戦闘だ。普通は緊張してそれどころじゃないのは分かる。

 

             (interface_guide)
           いえ、それもありますが。
        問題には殺人の蓄積が関わってもいます。
             (/interface_guide)

 

 さ、殺人?
 素っ頓狂な声を上げる。
 いつもあっさり殺してるのに。そ、そんなもので、と。

 

 

             (interface_guide)
      テレビ画面からは伝わりにくいかもしれませんが、
       人殺しってそれほどのダメージを負うんですよ。
        ま、人によって度合いは変わりますけどね。
 本来は人殺しはそれほど精神に負荷をかけるもの――それはそうと敵が近づいています。
あなたは胸の辺りを狙ったらしいですが、肩をかすめましたね。その体は少女ですから、       筋肉で反動をカバーしてきれなかったのでしょう。

             (/interface_guide)

 

 と、冷静な分析を言われる僕。
「……っ」
 認めたくないが、今はとても必要な情報だった。くそっ。いけすかないが、しょうがない。

 

 026

 

              <三人称視点>

 

 ヒビキは驚いた。
 だが、すぐに敵の正体が分かった。あの――無力だと思っていた子供二人か。
 木の葉が急に落ちたのは何を意味するかは分からない。
 しかし、彼はすぐさま小屋から距離を取る。使った拳銃はおそらく渡されたグロック17だろう。あんなものじゃ、たかが知れる。彼は木が鬱蒼としてるとこまで後退し、そこから武器を取り出した。
 彼の能力はふれものを任意で透明化する能力。
 だから、この武器はかなりの威力になるはずだ――

 

 027

 

<check>◆</check>
まずいですよ!
</check>◆<check>

 

 部屋の中を――カンッ――カンッ――カンッと、音が鳴り響く。

 

                             <check>◆</check>
                              敵の攻撃です!
                             </check>◆<check>

「爆弾か!」
 しかし、気付いたときにはもう、遅い。

 

 028

 

               <三人称視点>

 

「……ふぅ」
 違う。
 ヒビキが放ったのは閃光弾だった。
 小屋を、莫大な光がきらめいた。
「この光で何の反応もない――殺されたのか?」
 仲間は、と。
 彼は憤りを覚える。
 ――駆けたっ。

 

 NEXT → 第九話「新手」

 

 

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