さっきまでこれを読んでいた。
アベノミクスで日本経済大躍進がやってくる (現代ビジネスブック)
- 作者: 高橋洋一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/03/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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いや、細かいとこは分からないけれど。
ともかく、日銀てめー、この野郎! ということと。
アベノミクスに寄せられる期待が書かれている。
……正直よー分からかったけど。
反対意見や、経済の知識もつけて、いずれもう一回読んでみたいと思う。
……金融ってのは、あんまりにも広大すぎて素人には何が何だかさっぱりな世界だが、しかしこれを知ってる・知らないで大きく違うだろうってことで、最近勉強している。
なので、あの映画ももちろん見てきた。
大まかな、話だけは分かった気がする。
金融市場を大きく変えた男がいました。
でも、そのせいでこういうことが起こりました。
はじめはみんな、そんなことが起こるはずがないと余裕ぶってましたが。
それをあらかじめ予期していた奴らがいました――か。
といっても、その予期してた奴らは協力してるわけじゃない。
というか、知り合ってもいない。
映画の表紙じゃ四人並んで、これから悪党と戦うぜ、みたいに見えるけど。
でも、チームを組んでるのは一つ、二つはあるけど、それだけだからね。
群像劇だけど、それぞれがつながってるわけじゃない。
影響は多少あるけれど、本当にささいなものだ。
それで何か決定的なことが起こるかと思えば――起こらない。
そう、ある意味では何も起こらない映画といえる。
細かいことは全然分からなかったけどさ。
でも、ライムスター宇多丸さんの映画評でもあったとおりそここそがこの映画の本質なんだと思う。いや、偉い人に乗っかって言っただけだ。
しかし、分からないからさ。俺がこうやってちょっと本を読んだだけじゃ分からない――魑魅魍魎のような混沌とした世界に見えるから、そこで暗躍してる奴らがいたらしいんだよね。
あらすじの続きをすると。
(おいおい、このままじゃもしかして世界経済やばくね?)
と疑い、あるグループが調査に乗り出すんだけど。
この、調査した結果がね――ホント、ひどくて。
低所得者に平気で絶対払いきれないだろうと思われる不動産を売ったり、しかもそれを自慢話として豪快に笑っていたりして――まるで、『食人族』の白人か『アクト・オブ・キリング』のギャングを見てるような心境だった。
この蓄積が、ある一つの結果を生み出す。
サブプライムローンだね。
それにより、リーマンショックも起こる。
この映画では、それにより会社を辞めざるを得なくなった者達が出てくる。
「18年間も働いてこれかよ!」と怒る人がいた。
印象的なのは、サブプライムローンの気配に気付いた者達のひとつ――ある男二人組が、無断でここに侵入するとこだ。
ま、リーマンブラザーズに侵入って昔だったら大事件だっただろうけど、このときは廃墟に乗り込むようなものだったんだ。
そう、実際に廃墟だった。
電光掲示板に多数の数字が浮かぶが、机には誰もいない。
無人のデスクばかりが並ぶ部屋。
「誰もいないなんて……」「誰がいる思ったよ?」「大人」
という会話が、これまた重い。
そして、何よりこの映画で悲惨に見えたのは、サブプライムローンで低所得なのに不動産を売りつけられた者達――家を出なければならず、その様子はまるで難民のようだった。
いや、実際にそうなのだろう。
この場合は戦争や災害じゃない、思いっきり人の手による人的災害だ。
しかも、事故ですらない――
何者にもなれないお前達というセリフがある。
意味合いはここで使うのとは別の意味で使われるのだが、ともかく、名前も持たないと言われる人々がいる。俺とかそうだろう。大局から見れば、蒼ノ下雷太郎? は? 小説家志望? それがどうしたと冷笑されるだけだ。しかし、俺にはちゃんと名前があるんだ。筆名だけじゃない、本名だってちゃんとある。
そして、俺以外にもたくさん名前を持ってる人がいる。少なくても、アメリカや日本には名前を持つ者がほとんどだろう。――それなのに、まるで彼らには名前もなく、ただの記号――数字として、終わらせようとする輩がいる。
『マネーショート』が一番怒りを見せるのはそこだ。
「彼らは、数字で終わらされるんだぞ?」
(いや、一字一句あってる自信はないが)
「約四万人の被害を受けた人々が――」で、終わらせられるんだ。
ここにこそ、この映画は怒りを見せたんだ。
最近だと、分かりやすい、簡単な物語が好まれる傾向にあるらしい。
文化系トークラジオで言ってた気がするよ。そして、俺も多分そうなんだろうなと思う。
でもさ。分かりにくいからこそ、大事なことがあるんじゃないかな。
正直、『マネーショート』はちょっと勉強したじゃ全然分からない――分かりにくい映画だよ。いや、大筋は何となく分かるけどね。
いや、分かる・分からないは問題じゃないんだよ。
この映画には、それでも分からなきゃいけないと思わされる――力があるんだから。
それは、エンタメ的要素じゃない。
このままじゃダメだという危機感――もしくは、道徳の力か。
映画は、そのまま絶望のままに終わる。映画のようにヒーローが登場して救ってくれることなんてない、奇跡的な誰かの功績で話が展開するわけでもない、ただ絶望のまま――何も起こらないままで終わる。
だからこそ。
だからこそ、このままじゃダメだよと思う力が鑑賞した者にふつふつと湧いてくるんだ。
俺が好きな日本映画で、松本清張原作の映画シリーズがある。
監督はそれぞれ違うけどね。(ちなみに、MGSの小島秀夫監督が良いって言ったから見るようになった)
普通のミステリーや、サスペンスなら、探偵や刑事のような特殊な職業、もしくはヒーローが主人公だろう。でも、松本清張に出てくる人って、どれもこれも普通の人々なんだよ。
そう、本来ならヒーローより普通の人々の方が多いはずなんだ。
そして、それこそ本当は大事にしなきゃ、ちゃんと描かなきゃいけないことなんじゃないかな。
だって、これほど身近なことはないじゃないか。
……と、今まで抱いていた思いを、より深く感じさせてくれる映画でした。
もう、上映期間は少ないというか、そろそろ終わりかな?
でも、機会があったらぜひご鑑賞あれ。
もしくは、原作本でもいいしね。
以上、蒼ノ下雷太郎でした。
した!