はじめに
*スマホだと一部表記が乱れる可能性があります。
カクヨムに投稿している「7start 2.0」の番外編です。
これまでのまとめ。
前回の話。
本編
I’ll 第一五話「探索」
041
リスはクジラの代わりにリーダーになるってことで、二狗さんのとこに行った。
で、クールな印象の子……クジラの妹、アリカちゃんは何処か、一人でフラフラーと離れた。
随分と、おねえさんとは性格が違うようだ。
「あの子、自由人だからね。仕方ないよ」
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女の子を「ちゃん」付けですか。
気持ち悪いですねぇ。
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うるさいよ。
別にいいだろ、現実では言ってないし。
というか、三人称でいちいち。
「アイルちゃんって、たまにポツンと心が置いてけぼりになるよねぇ」
「え、あっ――」
と、僕は現実に連れ戻される。
リスとアリカちゃんがいない今、僕はシャケと二人で行動していた。
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シャケには、なしですか。
恥ずかしくなってやめたくなったが
アリカと呼ぶとガイドに言われるがままって気がして
むかつくから、シャケは呼び捨てにした――っていう理由ですかね。
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僕で推理するな。
「もう、ぼぉーとしてたらぶつかるよ?」
「え、あ、ごめん――!?」
シャケは僕の右手をとって引き寄せる。
――う、うでに――む、むむむ、ねの感触が伝わる。
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………。
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わざわざ、無言の文字を見せなくてもいいだろ!
うるさいよ!
僕なりに予想外で緊急事態なんだよ!
「て、てててか、今どこに向かってるの?」
僕はシャケにある場所へと案内してもらっていた。せっかくだし、あそこに行こうよと言われたのだ。
で、未だにその『あそこ』が何処か教えてもらってないけど。
「え、お風呂だよ?」
三番街は新鮮な水が豊富で。
そのため、お風呂などの設備も整っているんだとか。
お湯を沸かす場合は時間制で、チームが限られた時間をスケジュール通りに入って行く――のだが、僕はけが人だし、さっきまでずっと寝ていたから、と頼みに行くそうだ。
「ま、ついででシャケちゃんもお風呂は入れて万々歳なんだけどね」
「………」
僕は逃げようとした。
シャケの腕が――お、おっぱいが、僕を逃がさない。
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いや、逃げなんてしなくても。
というか、色々とテンパってますね。
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だったら、助けてよ!
逆にこわいよ、何でこんな――あ、シャケが離さない! 離してくれない!
意外と力あるよ。ああああああああああっ――
042
「………」
「ふいー、すっきりしたね」
お風呂上がり、シャケと僕。
彼女は長いピンクのもさもさした髪を、バスタオルでふく。
僕も三つ編みをほどいた長い髪をバスタオルでふいている。
ふきながら、校舎の廊下を歩いていた。服は同じだが湯上がりで汚れは一掃され、肌もつやつや、血の気もよくなった。
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えっち。
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うるさいよ!
仕方なかったろ、僕のせいじゃないだろ。
僕は逃げたぞ! ちゃんと逃げたぞ。
それをシャケが無理矢理。
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内心は?
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すごかった!
「もう、だからアイルちゃんってぼぉーとしすぎぃ」
「あ、あぁ、ごめん」
頭の中で、ガイドと格闘していた。
文字がカタチを得たら、日本刀を振り回して暴れそうな奴だった。
危ない危ない。
「ねーねー、せっかくだしさ。この辺りをブラブラしようよ。ねーねー、どこか行きたいとこないの?」
「い、行きたいとこ?」
そんなこと言われても、と僕は咄嗟のことに頭が真っ白になるが――しかし、数秒してパッとあることを思いついた。
「クジラの……」
あまりにもあっさり閃いたので、自分でもびっくりだ。
「クジラの、生きていた部屋」
「……いいよ」
シャケはほほえみを止めて、無表情に。そして、何故か僕の頭をなでる。
……いや、何故なでる?
043
だが、クジラの部屋には先客がいた。
部屋というか、大体団員の寝床はチームごとに分かれていて、二つある二段ベッドでぎゅうぎゅうの部屋だ。二段ベッドをこよなく愛するのか、チームが八人や十人でも、一つのベッドに大量に寝かせて過ごさせるんだとか。
……リスが、クジラの寝床で頭をかかえていた。
「――もどろ」
シャケが僕の肩を押して反転させ、退却。
彼女は二狗の部屋に行く前なのか、行ったあとか――いや、行ったあとか。
とても、神聖な時間のようだ。
「ま、ごめんね。シャケ達も色々と抱えてるものがあってだね。あ、そうだ。お姉ちゃんが通りで何かおごってあげるよ」
頭をなでながら言うシャケ。
「……何故なでるんですか」
あと、何故お姉さん?
いや、実際この体と比較すると年上だけど。
「いひひひっ……」
「ちょ、――もう」
シャケがニコニコしながら抱きついてきたが、悪い気はしなかった。
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ヘンタイ。
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だから、うるさいよ。
つづく → 第一六話「一人でいること」
さいごに
もう片方のブログ小説が終わったんで、ブログ小説の更新時間を変更します。
今後は、火曜日と土曜・日曜に更新します。
時間帯は、七時から八時頃をと考えております。
唐突になりますが、何分よろしくお願いします。
本編はこちらです。
最初は、三番街の族『V』の九鴉が主人公ですが。
徐々に群像劇に変わります。よろしく!