子供の頃のバレンタインは公開処刑に近かった。
友人の誰かが照明弾のように打ち上げる。
「誰かもらったことある?」
非常に微妙な聞き方だ。
今年は、とすら入っていない。これまでいくつもらった、と総合的なこと聞いてやがる。
そう、はじめから俺等には今年いくつもらえたなんて期待していない。できるはずがないと思っているんだ。てめぇ、この野郎。舐めんじゃねーぞ。
「あ……うん、い、一回くらいは」
だが、返せる答えは情けないものだ。
一回、たった一回だ。
高校生くらいの年月生きて、たった一回。
しかもそれは、独りの女子がクラスのみんな全員にあげてた義理チョコ!
「まぁ、チョコなんていくつでももらえるよね」
いや中には妙な虚勢をはって。お前は女どころか友達すらもいないだろうって奴が、痛いことを言っていたこともあったが、いやいやそれはどうでもいい。
このときの俺は悲しかった。
こんな結果しか残せていない俺。
チョコは義理チョコ、一個のみ。今年ももらえない、おそらくは来年も……。
えーと、ここまでが本来枕となって、本題に入るんだろうけど。
今回はそれがないんだけどね。
えぇ、だって実験だし!
枕の実験だし!
映画秘宝みながら、こういう風に書くのかと勉強してんの!
文句あるなら俺のケツに言え!(どういう罵倒だ……)