蒼ノ下雷太郎のブログ

一応ライターであり、将来は小説家志望の蒼ノ下雷太郎のブログです。アイコンなどの画像は、キカプロコンでもらいました。

I’ll 第十話「決着」(7start 2.0 番外編)

 はじめに

 *スマホでは一部表記が乱れる可能性があります。

 

 これまでの話。

I’ll まとめ (7start 2.0 番外編)

 

 前回の話。

I’ll 第九話「新手」 (7start 2.0 番外編)

 

 本編

   I’ll 第十話「決着」

 

 031

 

 ガイドが作戦を提案した。言うだけなら――簡単なものといえる。
 子供にも分かりやすい――とても、単純な作戦だ。

 

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           まず、起き上がってください。
             それも大きく叫んで。
              (/interface_guide)

 

「うわあああああああああああっ――!!」

 喉が張り裂けそうなほど叫んだ。
 一度咳き込んでつっかえても、またすぐにうわあああああっ――と叫んだ。
 そして、起き上がって駆け出す。

 

              (interface_guide)
           そしたら、撃たれますから。
              (/interface_guide)

 

 撃たれた――。
 撃たれたのは、背中。
 人体の中では大きな的であり、同時に人体の大事な部分を傷つけやすい――脊髄、臓器、背骨、腹を撃つよりやばそうな場所がいくつもある。だから、ある意味では心臓が広範囲に及んでいるようなものだ――だが、僕にはそれは効かない。

 

              (interface_guide)
           全身の一部を硬くする能力。
              (/interface_guide)

 

 正確には全身のほぼ半分を硬質化した。
 足や背中、敵の死角になるであろう前方向は無視して、背中などを重点的に硬くした。
 おかげで――弾丸を喰らっても多少ふらついただけだ。
「うわああああああああああああああっ――」
 駆ける。
 まだ、駆けられる。

 

              (interface_guide)
        そしたら、今度は足を撃たれますから。
              (/interface_guide)

 

 撃たれた。
 右足のふくらはぎ――衝撃で、硬くはしていたが足がもつれてしまい、転ぶ。

 

              (interface_guide)
         で、多分敵もすぐに気付いたでしょうね。
         あなたの能力は体を硬くする能力――だって。
              (/interface_guide)

 

 だったら、ヒザやヒジなど関節を狙えばいい。
 関節だけは構造上、硬くしても意味がないのだ。
 そして、ガイドは言った。
 僕が倒れている間に――敵は、仕留めにかかるだろう。
 ……呼吸が、ひどく……長く感じられた。

 

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            命がつながりましたね。
             (/interface_guide)

 

 咆吼――とまではいかないが。
 銃声に匹敵するほどの衝撃音が鳴り響いた。
 空間を貫いて敵を吹っ飛ばす。
 透明だったはずの敵は――地面を転がりながら姿を現す。右肩を打たれたようで、彼は苦悶の表情で肩をおさえていた。

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        三発も撃てば、居所は分かりますよ。
            勝因は敵の油断。
       あいつはリスが死んだとばかり思っていた。
             (/interface_guide)

 

 そして、僕はまた起き上がって駆け出す。

 

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       でも、相手も死んではいないでしょう。
        まだあなたを撃つかもしれません。
        軽くトドメはさしておきましょう。
             (/interface_guide)

 

 具体的に言うなら、何か飛び道具で黙らせようとガイドは言った。
 しかし、投げるものなんて近くには――あ。

 

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        そう、小屋の破片を使えばいいんですよ。
             (/interface_guide)

 

 032

 

             <三人称視点>

 

 油断していた……。
 透明男は、片方はもう殺したと思っていた。
 だから、無駄に三発も撃ってしまった。
 銃というのは動きながらじゃろくすっぽ当たりはしない。だから、牽制以外――ちゃんと敵に当てるのを目的とするなら、立ち止まって撃つより他はない。
 だから、三発も撃ったということはその間、自分の居場所を「ここですよー」と宣伝するようなものだ。
 そこを狙い、リスが近くにあったもの――木片を放ち、攻撃した。
 柱の一部だろう。殴るには丁度良さそうな長方形の木材を弾丸にした。
 右肩にひびが入ったようだ。舌打ちする。この戦闘じゃ、もう使い物にならない。
「………」
 そして、問題はあの少女だ。
 三つ編みの……弾丸を喰らっても平気だった子。
 背中や足を撃っても平気そうなのを見ると、やはり体を硬くする能力者か。厄介な――だが、そうなるとこれは作戦の一部だったのか。
 しかし、それには仲間が生きていないと話にならない。
 あの状況下で――まだ、仲間を信じられたというのか。
 透明男はガイドの存在を知らなかったので、余計にアイルのことを畏怖した。
「だから……」
 だからこそ、今この場で殺さなきゃと確信した。
 あの子は、絶対この戦いのあと――族に災いをもたらす。
 族を縛るは絆の力。それは呪縛であり、生命線。
「……し、死んで……くれ」
 死なないよ。
 そう言うかのように、角張った木材が再び透明男にヒットした。
 今度は顔面だ。
「――くはっ」
 衝撃でもんどり打ち、彼は気絶する。

 

 033

 

「やった、やったぞ!」

 

                (interface_guide)
              ほら、いいから早く助けて。
                (/interface_guide)

 

 僕は透明の敵を倒した。
 正直、もう終わりだと思っていた。新手も来るって話だったし。
 だが、まだ戦って十分ぐらいしか経っていない。超スピードで倒すことができた。
 これなら――これなら、リスを連れて逃げ出すことも可能だ。
 もう、これ以上の戦いなんてごめんだ。新手は一人で好き放題やってくれ。

 

               (interface_guide)
                 ――え?
               (/interface_guide)

 

 と、ガイドは不吉な声色で何かに驚いていた。
「え、おい。どうしたんだよ」

 

               (interface_guide)
          そんなっ――敵はもう、こちらに来ます。
               (/interface_guide)

 

 来るって……一体何……まだ、十分くらいしか。
 あと、十分は余裕があるって。

 ――神経が震える。

 僕は、ふとその殺気が飛ばされた方向に振り向いてしまった。
「……あ」
 灰色のツナギを着た子供。
 ニット帽を被り、金髪をその中でまとめていた。
 端正な顔だが――頬には動物の牙の絵が刺青されていた。
 右腕には黄色い布を巻いている。

 

               (interface_guide)
             八番隊大将の子の一人――
               『鮮血』のX。
               (/interface_guide)

 

 それが、僕の前に現れた新手だった。

 

 NEXT → 第十一話「死亡フラグ

 

 

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