さて、『アイドルマスターシンデレラガールズ 2nd 22話』を見たわけであるが。
「アイドルマスター シンデレラガールズ」第22話次回予告ムービー - YouTube
346常務とはこれで決着?
ずいぶんとあっさりしすぎてる気がするが、まだ何かあるのかな。
意外とカタルシスは少ない。
いや、アイマスは結構そういう要素は少ない方なんだけど。
アイマスって、スポットライトの裏側を見せるアニメなんだよね。
ラブライブがスポットライトの世界を前面に押し出すなら、こっちの入り口はまず楽屋からになる。そして、スポットライトに照らされた舞台になるのだ。
作中で、一人倒れたが。
なにも彼女だけが問題ではなく、誰にだって起こりえることだ。(事情は違えど、一期では新田がそうだし。あと、現実でもAKBのライブなんてもう……ぜひ、ドキュメンタリーを見て絶句してほしいが)
しかし、今回の話を見てておもったのは。
今まで、346常務の面々って全員向いてる方向がバラバラだし。
まとまりがないなぁ、とは思ってはいたが。
でも、それもそのはずで。
大会社だから仕方ないんだよね。
言ってしまえば、こち亀の中川家みたいなもんだよ。(これ、分かる人いるかな)
中川家は豪邸というか――超、超、超豪邸というか。
街一つ分は余裕である敷地を持ち(もはや豪邸というレベルじゃない……)家の中で迷子――いや、遭難するレベルなんだね。家族だって一同に会するのなんて奇跡に近いし。
それといっしょなんじゃないかと思う。
あんだけでかい会社にいれば、全員が一丸と、なんて難しい話だ。
見渡せば簡単に全員が見えそうな765とは違うのだ。
だからこそ、シンデレラガールズの強さも見られた。
彼女らはユニットになって小分けされ、それぞれで絆は強まったが、逆に一丸となる力は薄まったように――は、ならなかった。
765ほどじゃないとしても、それぞれ異なる価値観を持つ者だとしても手を取り合い、ライブに赴くメンタルを手に入れた。別に心を一つにする必要なんかない。心が二つや三つでも四つでも、それでも共にいることができる。それを体現していたといえる。
だからそれは、本田未央と島村卯月が出られなくなっても、他のメンバーが入ったことで補給された――というのも納得できる。
765は一人でも欠けたら駄目、ということになりそうだが。
こっちは違うんだね。
それでも――それでも、前に進みたい。アイドルをやりたい。
だから、臨機応変に戦う。
それが、今のシンデレラガールズの集団としての在り方なんじゃないか。
――と、良い感じに語ったけれど。
でもアイマスは良い一面だけを語る気はないようである。
それは346常務に関してもそうだ。
彼女が現れたことで346というお屋敷は混乱し、シンデレラガールズもドタバタして変わらざるを得なくなったが、変わったことで新しいメンバーが入ったし、鍛えられたりもした。それに、彼女自身が行ったプロデュースも今回のを見る限りじゃ、悪くなかった。
渋谷凜のトライアドね、カッケェェェツ! と思ったけど。
西洋的な、二つの対立だけで描くのではない。
どちらも良いとこと悪いとこがある、だから――と考える、東洋思想的なやり方だ。
それが、今期のアイマスといえる。
だから、今回見えてきたシンデレラガールズの集団の在り方についても、良い面があるなら――悪い面も見えてくる。
それをありありと体現してみせたのは、皮肉にもこのアニメのメインキャラクターであるはずの島村卯月だ。
このアニメの本質が見えてきたかもしれない。
これまで各々のアイドルが困難に立ち向かい、挫折し、立ち上がって克服してきた。
成長してきたが。
それで、個にばかりに目がいっていた。
実際は個人を簡単に呑み込むような大海原――それにどう、アイドル達が行動するのかが、物語の本質ではないのか。
海に流されるだけだと大変だから、島を作る人もいるだろう。
だがその島も嵐で壊れるかもしれない。
だったら、また新たな島を作ればいい。いや、もしくは船でも造るか。
臨機応変な対応ができるなら。
変化を望む者なら、こういうこともできるかもしれない。
だが、望まない者は?
臨機応変な対応ができない奴は。どうすればいいのか?
……いや、何か前にテーマを決めたくないと言ったのに決めそうになっちゃったけど。
また、この大海原の話から、シンデレラとは――さらにそこから、そもそもアイドルとは――という話になって、いいかもね。
前、ツイッターで島村卯月のことを。
男性の願望そのものみたいで気持ち悪いっていう――だっけか。ツイート見たけど。
正直、最初それを見た時はブッ殺してやろうかと思ったけど。
でも、よく考えるとそれも込みで、の話かもね。
男性の願望そのもののアイドル。望むがまま、その通りに行動する。それは、一見互いの(ファンとアイドルの)目的を達成して良い風に見えるかもしれない。しかし、実際それは人間というよりロボットじゃない? となるのでは。
……多分、今期も前回の主役・春香のようにバッシバシやられるんだろうけどさ。
でも、やっぱり物語で何かに立ち向かうキャラクターってかっこいいんだよね。
好感が持てる。
尊敬する。
そんな人がいるなら――あの人ががんばったんだから――と、現実にだって反映することもできる。
ロッキーでも何でもいいけど、追いつめられて追いつめられて、それでも立ち上がって――そこにこそ、やはり作品を見るっていう価値があるんだろうね。
立ち上がることを絶対視するつもりはないが。
でも、やっぱキレイなものはキレイだ。かっこいいものは、かっこいい。
ドーンッと島村卯月を追いつめて、最後には立ち上がって再度輝いてほしい。
そう思った、蒼ノ下雷太郎でした。