蒼ノ下雷太郎のブログ

一応ライターであり、将来は小説家志望の蒼ノ下雷太郎のブログです。アイコンなどの画像は、キカプロコンでもらいました。

現在の状況 2016/04/20

 ノクターンノベルズで、「7start 2.0」の番外編書いてます。

 

(注意、18禁小説です)

novel18.syosetu.com

 

 性的描写も多いですが、アクションも負けないようにがんばっております。

 ……毎日更新とうたった割には二日か三日ほど穴をあけて、土下座しなきゃという日々ではありますが。

 あと、性描写も他の人には生ぬるいかもしれないけど、俺は……正直、罪悪感で死にそうですが。ともかく、気を引き締めて書いております。

 あぁ、早くあの悪党をどうにかしたい。

 

 話は、『七人の侍』や『進撃の巨人』のようといいますか。

 地下都市――の中でも、各地区ごとに分かれ、数多くの族が存在する街、四番街。

 まだ、『牙』が設立する前の話で――その過程を追っていきたいと思います。

 はじまりは、四番街のⅩⅠ区がある族により、襲撃され、制圧されたとこから始まります。

 そこで、主人公達は復讐を胸に――ってね。

 

 ようするに、過去の話です。

 どうにか、書いていきたいと思います。よろしくお願いします。

(といっても、18禁だけど)

 

 

 

 あと、他にも公募用に書かなきゃいけないのもあるんで。

 その準備もしないと。

 

estar.jp

 これ、ミステリーで応募したい。

 その前に、改めてミステリーを勉強しなおそう。

 

 

 ともかく、現在の状況でした。

 以上、蒼ノ下雷太郎でした。

 

 

 

 

 

第十八話 「密室殺人②」 (解決編でもあります。一応、最終回みたいなもんでもある)

 はじめに

 *スマホだと一部表記が乱れる可能性があります。

 

  カクヨムやなろうに投稿している『7start 2.0』の番外編です。

 

 これまでのまとめ。

I’ll まとめ (7start 2.0 番外編)

 

 前回の話。

I’ll 第十七話「密室殺人 ①」

 

 本編

 

 第十八話 「密室殺人②」

 

 053

 

「もう、アリカちゃんカワイイ! ベリーカワイイ!!」
「………」


 シャケとリスが来た。
 シャケは桃色のふわふわした髪の毛を左右に振り回し、アリカに抱きつき、奇声を上げていた。


「まぁ、いつもぼっちのこいつには珍しいよね」
 対称的に、眉をしかめていたのがリスだった。


「……ぼっちじゃない」
「ぼっちじゃん」
「ぼっちじゃない」


 アリカはそっぽを向いて、シャケにわしゃわしゃと頭を撫でながら、ブツブツつぶやく。
 リスはアリカを凝視しながら、眉をしかめてつぶやく。
 相反するって、こういうことを言うのかと感心してしまう。

 ……いや、そういうことはどうでもよくて。

 

「それより事件だよ。一体、どうやって解決を」
 まさか、事件の謎を全て一気にといてくれるような能力があるはずが。
「ふふっ、実は全てをまるっとまとめて一気にとく能力があるんだよ」
 と、シャケが自信満々に言った。
 僕は戦慄する。


「ま、まさか……」

 

 054

 

 そんなことはありませんでした。

 

「何でなのっ!?」

 シャケは戦慄した。

 

               (interface_guide)
            ミステリーを生半可な気持ちで
        書こうとした馬鹿なら、能力でとけるでしょうけど
               現実ですしねぇ。
               (/interface_guide)

 

 ガイドはため息をつくように言った。

 いや、シャケの能力というのは確かにすさまじくはあったんだ。
 それこそ、このキャンピングカーやその周りだけじゃなく――周囲、大通り全体をさわがしそうだったほど――いや、全力でやればだけど。彼女に制御してもらって、一〇〇Mだけにしてもらった。本当はもっと範囲を広げたかったのだが……仕方ない。


 シャケの能力。

 彼女は『場所の記録再生』と呼んでいるそれは、彼女が指定した場所の過去の映像を、映し出せる能力である。

 

 そう、ミステリーだったらありえないような破格な能力。
 ただし、彼女の能力は領域がかなりポイントになっていて、例えば建物だったら、建物の中と外、どちらかしか一度に再生できない。


 だから、今回はキャンピングカーの外を再生してもらったのだ。目撃では出た人はいないと言われているが……もしかしたら、能力か何かで、見えないように抜け出したのかもしれないし、もし車の中だけを再生しても行方を追うことはできないだろう。だから……。


「な、何も変わってない……」
 シャケは絶望にくれて四つん這いになる。
 彼女が映し出した映像は、何時間前のを早送りのように映しても車の様子は変わらない。細かく見ても、だ。注意深く見ても……変わらなかった。


 過去の映像は、僕らにも可視化される。
 まるで立体映像のように映し出されるのだが……。


「ないよ!」
「……ない」
「……ないね」


 僕ら四人は、全ての角度に広がって観察した。
 ちなみに言っておくが、車の下も――上も、見た。
 建物の屋上にのぼり、上から車を見下ろした。
 逆に、建物の下にもぐりこんで、ずっと観察したりもした。
 どっちも……何時間前から映し出しても、表示されなかった。
「何なの、これは」
 リスは恐怖すら覚えた。寒そうにカラダを振るわせる。
「………」
 アリカだけは毅然としていた。
「あわわわっ……」
 シャケは自身の能力が通用しなかったことにショックを受けていた。
 いや……今回の場合は、彼女に非があるのではないと思う。これは……何なんだ。この事件が異常なのか。

 

 ちなみに、車の外側を再生すると車の中は再生されない。
 ようするに、車の窓から中をのぞいても映像が表示されることはない。
 ありとあらゆる可能性がつぶれた……。


「で、でも、もう一回やれば」
「……ガクッ」
 シャケは倒れた。
「この能力、莫大な体力使うくせに、領域の区分けがものすごい厳しくてね」
「……建物の外を映し出したら、少なくても明日までは建物の中を映し出せない」


 その言葉に僕は頭をかかえる。
「……ぬぁぁぁっ……」
 そんな時間あったら、誰だって逃げられる。
 下手したら、証拠隠滅だってするかもしれない。

 

 055

 

「……応援は呼んである。でも、こんなわけ分からないの、応援来てもあんまり意味ないね」
 リスは言う。
 優れた能力者は他にもいるらしいが、それは他の話であって……殺人事件に有用なものは、限られるだろう。
 殺人事件の調査に使えるのは。

 

              (interface_guide)
          アイルの能力も全く使えないですしね。
              (/interface_guide)

 

 ホントだよ。自分でも、カラダの一部を硬質化できるなんて――と思っちゃったよ。ぬぅ。
 ……しかし、どうするか。四の五の言ってられない。
 早く解決しないと逃げられる可能性がある。もしかしたら、犯人はどうにかして逃げ出したのかも……。


「そういえば、瞬間移動の能力者がいるっての聞いたことあるよ?」
「そこまでいくと、どっちみち追い切れないよ」
「……遠くに逃げたとしても、お金を盗んだ動機が意味不明だし」
「ぬっ」


 そう、例えお金をいっぱい盗んでも、あとあとVによって番号を特定され使えなくされるのにだ。
「車から抜け出したのは被害者だけだよね」
 中年のおっさん。
 こいつだけ。
 一度、何なら過去の記録再生を今朝まで時間をのばすかと――やってみたのだが、車から出たのは被害者だけだった。

 ちょっと、お腹がふくらんだように見えたが、それ以外はとくにない。
 いつまでやっても、被害者が出入りしてるだけ。
 窓にすらささいな変化はない。


「……整理する」
 アリカは事件の謎を整理した。

 

①何故、被害者を殺したのか?

②どうやって、車から抜け出したのか?

③何故、お金を盗んだのか?

④そして、そのお金は今どこにあるのか。

 

「お金はいっぱいあったんだ。こいつのお兄さんが有名族に所属していて。Vの傘下のね。だから、いくらか分け前をもらえた。そのくせ、やることが多少の飲み食いと、真向かいで働いている女性を見つめること……しかも、恋人がいるのにね、その女性」
「こらこら、眉をしかめない」
 正直、それくらい悲しい内容は僕にも通じる。
 ちょっと、他人事じゃなかった。

 

                (interface_guide)
                やーい、ぼっち。
                  VR人。
                (/interface_guide)

 

 こいつ……スクラップにしてやろうか。

 

 056

 

「もーどーすんのよ! わけ分からない! 密室もだし、お金も! あんなの盗んでどうすんのよ。番号が公開されて、指名手配されたら、使うこともできないじゃない!」
 使ったらすぐ捕まると……ぷんすか怒っているリス。
「……あ」
 だが、アリカは何か分かったようだ。
 リスの背中を叩き「意外と使える」とつぶやいた。
「……はい?」
 リスは、本気でわけ分からんと疑問符を浮かべた。

「……そうなると」

 アリカはホルスターから拳銃を取り出し、セーフティを解除した。
 彼女は車のドアを開けて、中にいる死体――死体のおっさんに、銃口を向けた。
「ちょ、アリカ?」
 僕は困惑する。
 おいおい、おかしくなって死体に八つ当たりかい。流石にそれはないよと、止めようとしたが。

 

                 (interface_guide)
                 あぁ、なるほど。
                 (/interface_guide)

 

 と、ガイドは納得していた。
「???」
 リスは僕と同じく疑問符だらけなのだが。

 ――銃声っ。

「「アリカ!?」」
 僕とリスは彼女を止めようとする。
 いや、撃ったあとに意味がないのだが。ともかく、腕をおさえようとしたら。
「うぎゃああああああああああああああああっ! あ、あぶねー! 何すんだよ!?」
 と、死体が暴れ出した。
「「……は?」」

 

 057

 

 結論として、被害者のおっさんは生きていた。
「彼の能力は肉体操作。肉体をどうとでもいじれる。……珍しい、やろうと思えば顔を変えることも可能らしい。彼女の家に忍び込んだのもこれのおかげか、もしくは指を鍵のカタチに変えたのか」
「あのごめん、未だにわけ分からないから、順序で説明して」
 いきなり彼女の家って単語が出て、とまどう。
 な、何のことを言ってるのか。


「………」
 はっ。
 と、鼻で笑うようにアリカは説明する。


 い、いや、そこまで苛つかなくてもさ。眉を顰めて不機嫌そうにまでしなくても。
「………」
 リスはこめかみを引きつらせていた。


「ようするに、こいつは死んだフリをしただけってこと。そうすることで、架空の犯人をでっち上げたかった。お金を大量に盗んだ奴がいるっていうね。で、そのお金はどこにあるのか。この男が、あの真向かいの店にいる女性――彼女に疑いがかかるように、店の中に隠しておいた」
 縄で縛り上げられた被害者――じゃなかった、犯人のおっさんに問いかけるように言ったアリカ。
「……はい、そうです」
 涙をこらえながら言う、おっさん。
「「………」」
 いや、僕とアリカは説明を聞いても、まだ理解しきれていない。
「ようするに、……領域を間違えなきゃシャケの能力ですぐ犯人が分かったんだけど」
「ちょ、待ってよ」
 リスが止める。
「何でそんなことしたの? 彼女に迷惑がかかるだけじゃ……あ」
 自分で言って分かったようだ。
「そう、こいつは迷惑をかけたかった。片思いの女性に……恋人がいる、片思いの女性に、迷惑をかけたかっただけなの」
「本当に死んじゃえよ!」
 リスは怒声を浴びせる。
 犯人のおっさんはひぃと声を上げる。
「そ、そんな事件に僕ら振り回されてたの」
「ちなみに第一発見者も無関係。あの人、ほんと運が悪かっただけだね」
 あ、第一発見者は今どうしてるかというと、途中逃げ出そうと試みてたので、気絶させて近くに寝かせてある。
 ちょっと、ひどいことをしたかもしれない。
「……あ、で、彼女の家に忍び込んだのか」
「そ、今朝抜け出したのが多分それでしょ。妙に腹が膨らんでたのも、そう。多分、能力でお腹に隠してたんじゃない? あまり想像したくないけど……」
「でも、わけ分からない。迷惑をかけるためだけに、ここまでやる?」
 それに、死体としてシラを切るのは相当大変だ。
 流石に鑑識まではVにはいないし、検死もできない。でも、多少の調査はする。呼吸も肉体操作でごまかしたのだろうが……あれって、ずっと誤魔化せるかな。
「途中で、抜け出そうとしたんじゃない? いや、そうしたら誰が犯人か分かっちゃうと思うけど。正直、ここまでしてやることじゃ」
「ひ、必要だったんだ……」
 と、犯人がクチを開いた。
「お、俺が死ぬことで……な、何かが変わるんじゃないかと」
 恋人がいる真向かいの店の彼女や。
 彼の兄が。
 何か、反応するんじゃないかと。
「迷惑だっての!」
 リスは犯人の頭を叩いた。
「………」
 僕は、少しだけ気持ちが分かった。
 彼の気持ちが分かるからこそ、この世界に来たようなものだ。
 そう、この現実世界に。

「ともかく、こいつ連行しよ」
「よし。……ま、とりあえず解決だね。ほら、シャケ! いつまで落ち込んでるの! もう、事件は解決してるよ!」
「……ふふっ、いらない子……シャケ、いらない子……」

 そう、彼女らと……しばらくは続けていくと思う。この現実世界の生活を。

 

 END

 

 あとがき

 以上。

 しばらく、更新遅れてすいません。

 これをもって、I’llは更新を一時停止とします。……いやだって、アクセス数がね。

 まことに申しわけありません。

 応援してくれた方々、どうもありがとうございました。

 

 

kakuyomu.jp

I’ll 第十七話「密室殺人 ①」

 はじめに

 *スマホだと一部表記が乱れる可能性があります。

 

 カクヨムやなろうに投稿している「7start」の番外編です。

 

 これまでのまとめ。

I’ll まとめ (7start 2.0 番外編)

 

 前回の話。

I’ll(7start 2.0 番外編) 第一六話「一人でいること」

 

 本編

 I’ll 第十七話「密室殺人 ①」

 

 048

 

 事件が起こる前に、僕はガイドから三番街の銀行の話を聞いていた。

 

             (interface_guide)
               利益?
             (/interface_guide)

 

 昔の、人類史にあった銀行というのは、預金だけじゃなく、投資やお金の貸し借りも行っていたんでしょ。それで、利益を上げていた。
 でも、多分だけど、今の銀行――地下都市の、いや三番街の銀行は、そういうことしてないよね。

 

            (interface_guide)
            ああ、なるほど。
     だから、メリットは何なのか知りたいんですね。
            (/interface_guide)

 

 だって、そうでしょ。
 昔の通貨――お金だったら、いくらあっても足りないと思うかもしれない。
 だが、今は食料が通貨代わりだ。
 それと比べるとどうしても見劣りしてしまう。それほど、食料が貴重だっていう証でもあるんだけど。
 ……食料だと、どうしても生きて行くのに必要な分だけって、思っちゃうんだ。

 

            (interface_guide)
          正確には給与としての食料。
     ようするに、今の通貨の価値観もあるんですけどね。
       しかし、あなたの言うことも間違っていません。
   確かに、地下都市では必要以上に通貨を求める人はいませんよ。
            (/interface_guide)

 

 それこそ、生きて行くのに必要な分だけ――通貨、いや、食料があればいいとか。
 そりゃそうだ。命がけの仕事が多いんだ。
 願うなら、喰うために死ぬより、喰うために生きるを選択したいものだ。
「でも、じゃあ、余計に今の銀行のメリットって一体」
 だって、必要以上を求めないとなると、投資など成り立たない分野じゃないか。
 そう、僕が考えているとガイドは分かってますよ、とでも言うようにすぐ返答した。

 

            (interface_guide)
        族の存在価値を高めるためですよ。
            (/interface_guide)

 

 ……ん?
 僕はしばし、考える。
 がんばって、その意味を理解しようとするけど。

 

            (interface_guide)
              ばかですか。
            (/interface_guide)

 

 うるさいよ!
 ほんと、相変わらず言うことが生意気な人工AIだな。ひそかに気にしてることを言いやがって。別に僕は馬鹿じゃ。

 

            (interface_guide)
             はいはい。
     言い訳はいいから、どういう理由か説明しますね。
            (/interface_guide)

 

 まず、銀行の存在――食料の保有数を記録し、預かってくれる存在は便利だ。
 助かる。
 だから、銀行の存在意義は保たれる。
 さらに、もう一つ銀行を持つ意味があるんだとか。

 

            (interface_guide)
     ぶっちゃけると、三番街って通貨があるんですよ。
            (/interface_guide)

 

 そう言われて、街の通りを眺めてみると――あ、確かにいた。
 通貨らしい紙幣を渡してる人が、いた。

 

            (interface_guide)
 特殊なインクや能力者により製造されたもので、偽造はまず不可能らしいですね。
   そして、紙幣には番号がふられてあります。いつ発行されたか。
    ――で、このいつ発行されたかが重要でありまして。
            (/interface_guide)

 

 ぶっちゃけると、あの通貨って――ようは、食料の数を記録した紙なんですよ。
 そう言われて、僕はハッとなる。

 

            (interface_guide)
  ちゃんとした場所に届ければ、紙幣の価値分だけ食料と交換してくれますよ。
            (/interface_guide)

 

 つまり、記録した食料の保有数を紙幣でやり取りしてる……ってことか。
 これが、通貨の復活。
 でも、中には未だに物々交換の人もいるな。

 

            (interface_guide)
    手帳をいちいち見せに行って発行しますからね。
 大変なんですよ……、ま、それも含めて族には意味がありますがね。
            (/interface_guide)

 

 どういうこと、と僕は聞いた。
 ガイドは答える。

 ――つながり、が持てると。

 

            (interface_guide)
   昔でいう便利な道具のように、族と接することができる。
   人々と信頼関係をむすび、強固な信用となると彼は言った。
               信用。
     そう、Vが欲しいものは正しくそれなんですよ。
            (/interface_guide)

 

 信用。
 地下都市では食料以上に重要な代物。
 いつ死ぬか殺されるか分からない地下都市だからこそ、(こいつは大丈夫だ)という信用は貴重なのである。
 これは情報屋の族だけじゃなく、戦闘をする族や、その他の技術系も同じだ。
 信用。
 これこそが、生き残るための唯一の術であるといえる。これがない族は他の族からも見放されるし、相手にされない。信用ならない奴と協力なんてできるはずがないのだ。

 

 049

 

 ■事件現場。

 三番街のゲート前の大通り。


 昔は街路樹の自然を楽しみながらショッピングができる場所だったんだろうけど、今じゃ街路樹は巨大にそびえて化け物のようになり、軒を連ねる店は本来の用途を失い、宿屋代わりか族の所有物になっていた。
 そして、事件現場はその中の一角――ぽつんと置かれた空き地のど真ん中で行われた。
 正確にいうと、空き地にあったキャンピングカーの中で起きた。

 被害者は、丸眼鏡をかけた小太りの中年男性。
 あろうことか、首を刺されて死んでいた。
 目をつぶり、眠るように死んでいる。仰向けで。カラダは、両手を広げるようにして倒れて。
 凶器はナイフ。
 市場で簡単に手に入る戦闘用のもので、随分と刀身が太い。刺すには丁度よさそうが。
 失敬。
 ともかくこれで、一突き。向きからして、自分で刺したものじゃないだろう。
 いや、これだけなら(もしかしたら)自殺なのに殺人と見せかけて、と推理小説よろしく考えることもできる。
 だがしかし、キャンピングカーの中――室内は、異常が起きていた。
 一つのベッド。
 防衛のための銃器やナイフ。
 そして何より、床に埋めこまれている金庫だ。
 ――金庫は、解錠されていた。中身はない。
「通帳が枕の下にあったね」
 僕は一応手袋をつけて探り当てた。
 意味があるかどうか知らないけど、無表情のアリカに見せて言った。
「………」
 相変わらずだなぁ。
 頼むから、こんな事態はじめてだから助けてほしいんだけど。
「これは物盗りなのかなぁ」
 三番街の銀行の通帳をめくってみると、つい最近通貨を発行していた記録があった。
 最低でも、十万V(ファイブ)くらいはあるんじゃないか。
 十万Vってこの街じゃ結構価値があるけど……いや、ファイブって言い方、やっぱり可笑しいな。
 族の存在をより強調するために通貨名も族といっしょにしたんだろうけど。
 十万Vって、ようは十五万なのかって思っちゃうよ。

 アリカは無言で第一発見者の男を問い詰める。
「ちょっ、この子、こわくない!? 俺はただ発見しただけだって、ホントだよ!」
 中肉中背の、坊主頭。
 とくに特徴はない。
 ともかく、この男は第一発見者として呼ぶことにする。
 アリカは彼から、何で発見したと聞いた。
 男は正直者というか馬鹿だったので、すんなり答えた。
 ようするに、押し売りだったらしい。

 

               (interface_guide)
          世間から断絶したような者に接触し
   詐欺まがいのものを押し付ける奴がいるって聴いたことありますね。
               (/interface_guide)

 

 なるほど。別件でくわしい話を聞く必要があるな。
「ええええええっ!? 俺はただ事件を発見しただけなのに……」
 しょんぼりとうなだれる、第一発見者。
 いや、迷惑行為はダメだよ。

 

 050

 

 事件は大通りの中で起きた。
 辺りをちらちら聞きこみするが、キャンピングカーに入った人物は被害者の男、もしくは第一発見者以外はなさそうだ。
 真向かいには武器などの点検を行う技術系の族の拠点があり――そこには美人の女性がいる。被害者はよく彼女を眺めていたという話も聞いてしまう。
 これは余計な話だった……。

 

             (interface_guide)
        キャンピングカー自体は鍵が開いてました。
    でも、周囲の視線という鍵が――密室が、常にありました。
             (/interface_guide)

 

 出るとすぐに大通りに面している場所。
 そのため、人々の視線が監視となり、密室となる。なるほど、これは立派な密室だ。
 そして、タチの悪いことに目撃情報はなかった。
「………」
「俺じゃない、俺じゃないって!」
 そうなると、この第一発見者が怪しいことになるんだが。
 しかし、この人が犯人だとするとわざわざ通報する意味が分からない。
 あとあと、重大な意味があったってオチかもしれないけど。
 ……今のとこは、ないな。

 アリカは僕の腕を引っ張ると、第一発見者をキャンピングカーのわきに立っててと言って、わきにそれた。
「な、何?」
 いつも無表情の彼女にしては珍しく、顔を近づけて、何かをささやいた。

 

             (interface_guide)
           赤くなってますよ。すけべ。
             (/interface_guide)

 

 うるさいよ! 思春期なんだから、仕方ないだろ。
 ……おいやめろ、コピペして連続して話すな。やめろ。
 ……ともかく、僕はアリカの話を聞いた。

「まず、金庫の中身――お金が何処にいったのかを考える。いったかというか、理由を。
 ①どこかに隠すため。
 ようするに、お金を奪って自分のものにしようとしてる。でもこれ、無理だと思う」

 と聞いて、僕はさっきまでガイドと話してたことを思い出す。
 番号が控えられて、しかも能力者の力で何らかの要因があるんだったか。だから、誰かが不正にお金を奪ってもすぐに分かる。
 手帳には、誰がどの番号を発行したかもこと細かく書いてあるのだ。

「で、②を考えてみた。
 使っても大丈夫な理由があるんじゃないか」

 使っても大丈夫な理由?
 あの策士の二狗さんが考えたんだ。生半可な方法じゃ偽造も何もないと思うが。
 ……いや、地下都市は能力者なんて、何でもありな世界だ。
 それこそ、二狗さんも予想のつかない能力で――ん、あれ?
「そうだ。そもそも、二狗さんに頼んで心を読んでもらえば」
「誰を?」

 

              (interface_guide)
                誰を?
              (/interface_guide)

 

 うっ。
 僕はうなった。
「だ、第一発見者を……」
「してもいいけど。多分、あの人は犯人じゃないよ」
 犯人がわざわざ、こんな大通りで起こした事件を通報するとは思えない。
 ……全く、その通りで。
「でも、じゃあ何か方法があるのかい」
 密室で殺人を起こす方法。
 アリカは車にもどり、再び死体を確かめた。改めて脈をはかり、死体をこと細かく確かめる。
「………」
「ど、どうしたの。アリカ」
 彼女はベッドを見つめていた。
 何だろ、幽霊とでも交信してるのかなと危惧したが。
「ベッドのしわが増えた気がする」
 ……分かるか、そんなの。

 

 051

 

「どうすんだよ。このままじゃ、事件は」
「待って」
 アリカはもう一度クチを開く。
「犯人の目撃情報はない。……でも、お金を持って逃走した可能性は高いんだから、かさばる荷物なのは間違いないはず」
「た、確かに」
「だから、手当たり次第、大荷物の奴を探る」
 どうやって?
 と僕が問いかける前に、彼女は能力を使った。

 ――街中にいた鳥達が、カラスやハトが、一斉に飛び立った。

 

              (interface_guide)
         彼女は、鳥を自在に操れる能力者です。
              (/interface_guide)

 

 息を飲む。
 すごい……これなら、確かに街を一望できて、怪しい人物もすぐに見つかるだろう。
 逃げていたとしても、これだけの数なら――勝てるかもしれない。


 ……だが、結果だけ述べると犯人はいなかった。

 

 052

 

「……っ」
 アリカは親指の爪をかんでいる。
 ストレスが高まると出る癖かな。
 僕も困った。
 アリカの能力はすごかったが、街中を探し回った結果――大荷物の者はいて、中を鳥で脅しながらも確かめたらしいんだけど(あとで謝らなきゃとつぶやいてた)、しかし、お金を大量に持っていた人はいなかったらしい。
「でも、それこそ能力か何かで」
「キリがない」
 た、確かに。
「……だから、ここじゃ論理は必ずしも通用するわけじゃない。でも、だからって能力はいつも万能ってわけじゃない。だから、相手も策をもって行っているはず。――それさえ、それさえ分かれば」
 意外だった。
 彼女がここまで頭が回り、犯人逮捕に積極的だなんて。
 ……でも、方法がなきゃ犯人は捕まえられないよなぁ。
 まず、情報だってろくにない状況だし。

 

               (interface_guide)
               ありますよ。方法
               (/interface_guide)

 

 僕は目を見開く。
 ……ま、まじで?

 

               (interface_guide)
              シャケの能力を使えばね。
             彼女に無線で連絡させなさい。
               (/interface_guide)

 

 早速、僕は彼女に問いかけてみるが。
「………」
 この世の終わりみたいな顔をして、かぶりを振った。
「ちょ、どうして」

 

               (interface_guide)
       この子、誰かに頼むとか。集団行動が嫌なんですよ。
               (/interface_guide)

 

 何でVに入ったの!?
 えー、困ったな。
 今のままじゃ無理だぞ。もし犯人が逃走してる最中なら、一刻を争うし。

 

               (interface_guide)
           ここはあなたの腕の見せ所ですよ。
           どうにか、彼女に無線で連絡させないと。
               (/interface_guide)

 

 これは僕が代わりに連絡を取ればって話でもないんだろ。
 話すのが嫌なんじゃない。協力するという行為自体が嫌いなんだ。
「………」
 僕はアリカの両肩に手をおき。
「大丈夫」
 と、つぶやいた。
「………」
 腹を殴られた。
 ……な、なぜだ。

 

              (interface_guide)
     いや、あんなんで説得できると思ったあなたがすごいですけど。
              (/interface_guide)

 

「……分かった」
 だが、彼女は首を縦にふった。
 OKと。
 連絡するよ、と。
 ――ほら、何だよ、僕の説得で彼女はOKしてくれたじゃないか!

 

             (interface_guide)
           いやまぁ……そうですね。
       ……同情、みたいな目で見てましたけど。
             (/interface_guide)

 

 アリカは無線でリス達に連絡を取る。
 リスが何か叫んでいたけどアリカは無視。シャケに頼む。
「あなたの力が必要なの」
 若干緊張してるのか、上ずった声だった。
 それがまた、妙にかわいくて、おそらく電話の向こうのシャケも同じ気持ちだったのだろう。『かわいいいいいいいいいいいいいいっ!!』と絶叫していた。
「………」
 アリカは十年分の体力を費やしたかのように、げっそりとしていた。


 NEXT → 「密室殺人 ②」

 

 

 あとがき

 カクヨムの本編もよろしくお願いします。

 

kakuyomu.jp

カクヨムで落ちたことが思ってたよりキツかったときに俺はこの曲を


Gonna Fly Now (ロッキーのテーマ)

 

 大体、予想ついたかもしれないけど。

 これです。これ。

 

 いやね。多分、落ちるなと。ポイント、足りないし。とは思ってたんだけどね。

 

 だが、分かっていたとはいえ、キツイものはキツイわけで。来ると分かってるテレフォンパンチも、喰らうと痛いんですよ。はい。

 

 ……ま、グチグチいっても解決することじゃないんで。この想いを次作にぶつけて、がんばりたいと思います。一応、明日と火曜日はブログ小説更新するけど……あんま、アクセス数ないからな。一旦、停止するかもしれない。ごめんね。

 

 

 二極化が嫌いとは言いましたけど。

 友達にポイント10くらいもらったって(自分で)言ってた奴が、予選通過してたり。

 他にも、友人に頼んでたっぽいのがいて呆れましたけど……。

 俺、高校の友達にも、ブログやツイッターの友人にも、「読んでくれ」は言ったけど。

 レビューも、ポイントも頼んでねーよ! ……と、愚痴ってもね。何かが解決するわけじゃないんで。いや、言っちゃったけど。

(あ、そういや、RTしてくれも言ったことあるか……RTしてくれって、俺よ……)

 

 ともかく、がんばりましょう。

 絶望のどん底のときにこそ、「マッドマックス!!」と叫んで立ち上がるのですよ。(叫ぶことにどういう効果があるかは分からない。でも、ちょっと勇気が出る)

 

 以上、蒼ノ下雷太郎でした。

 した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

I’ll(7start 2.0 番外編)  第一六話「一人でいること」

 はじめに

 *スマホだと一部表記が乱れるかもしれません。

 

 カクヨムに投稿している「7start 2.0」の番外編です。

 

 これまでのまとめ。

I’ll  まとめ

 

 前回の話。

I’ll(7start 2.0 番外編) 第一五話「探索」

 

 本編

 

 I’ll 第一六話「一人でいること」

 

 044

 

                 <三人称視点>

 

 ワタシはあまり集団が好きじゃない。
 姉は違っていたようだ。あれだけ、自然に大勢の人と笑顔で話ができたのだから――集団が、好きだったのだろう。
 ワタシはダメだ。
 絶対無理だ。
 集団なんて好きになれない……。

 

 045

 

 僕はうれしいのか悲しいのか、どっちつかずの悲鳴を上げた。


「狭い寝床だけど、我慢してね。しなさいよ? ほら、あんたはアリカと寝て」と、リスは言った。


 彼女は風呂場のあとなので、カラダから湯気が出ている。
 肌は桜を散りばめたように火照っている。


「………」


 その、僕と同じ寝床であると言われたアリカはノー反応。
 年齢は僕やリスと同じ十四ぐらいだろう。


 水色のショートヘアー。

 顔立ちは端正で、リスやシャケに匹敵するくらいかわいらしいのだが、表情が乏しいせいか、人形のようであった。笑えばかわいいだろうに、いつも無表情だから不機嫌にも思える。
 カバタ族との一件から、起きてからも僕としては色々なことがあったが、ようやく眠れる――ってときに、大きな障害だ。

 Vの寝床は狭い。

 僕ら下っ端は、最底辺の寝床を与えられていた。
 六畳半ぐらいの部屋に、二つの二段ベット。
 どちらも二段目のベッドがボロボロであり、一段目しか使えない、二段ベットとしては死んでいるも同然である。だから、僕らは一つのベッドに二人で寝なきゃいけないのだが……寝なきゃいけないのだが。
 お、女の子と?
 い、いっしょの部屋で?
 ベットで?

               (interface_guide)
             何、興奮してるんですか。
               この色情ボーイは。
               (/interface_guide)

 

 僕をツッコミする文字が表示された。
 こいつは、ガイド。
 いや、正式な名前を与えてないのも何だが、この地下都市の案内役として僕をサポートする人工AIだ。……AIにしては、あまりにも人間的すぎるけど。

 

               (interface_guide)
             あなたが女の子だからですよ?
      少なくても外見はね。あなたがモテてるわけじゃありません。
               (/interface_guide)

 

 冷静すぎる現実をつきつけるガイド。
 わ、分かってるよ……でもさ。

 その夜、僕はアリカと同じベットで寝た。
 年中、ライトが照らしている地下都市で、暗闇につつまれるのは貴重な時間だ。
 明かりを消すと、部屋は簡単に真っ暗になった。無機質なコンクリートの壁や光を塞いでいる。
「――ぐへっ」
 首を絞められた。
 何事かと思うと、アリカだった。

               (interface_guide)
           そういや、言い忘れてましたけど。
             その子、寝相が悪いですよ。
               (/interface_guide)

 

 はじめに言ってよ!
 やらしいこと考えたから、報復に出たと思ったじゃない!

 

               (interface_guide)
           何考えてるんですかあなたは……。
        ほら、早く絞め技から逃げないと死にますよ。
               (/interface_guide)

 

 わ、わかって……るよ……。


 翌朝、アリカはリスに叱られる。


「あんた、何、新人を殺そうとしてるの!」
「落ち着いて、リーちゃん!」


 シャケが慌てて止める。
 彼女のくせ毛は朝だから余計に乱れている。一応、髪を丸めて寝ていたのだが、それが余計にバネのような力を与えたのか、くるくるとなった状態で、そんな状態でまじになってもおかしいのだが、アリカは意外と真面目に受けとめていた。


「ご、……ごめんなさい」


 しかし、リスが怒り狂って。


「ばーか! ばーか!」というと、我慢できなくなったのか、リスに殴りかかった。


「アイルちゃんも止めて!」
「あ、うん」


 いや、僕は唖然としていて困惑しっぱなしだった。

 

 046

 

 それから数日が経つ。

 僕は合間に訓練をさせられて、五日後ぐらいにはようやく仲間と合流して仕事に参加することができた。


「ここで仕事するとちゃんとご飯が食べられる。それだけじゃなく、昔でいうお金みたいなのもくれるんだ」
「……お金?」


 リスから聞いたとき、はじめは首をかしげた。
 VR世界――過去の日本をモデルにした場所にいた僕からすれば、通貨は見慣れたものだ。しかし、ここではとっくに廃れていたはずだが。


「え、知ってるでしょ? 缶詰よ。缶詰」
「……あぁ、うん。そりゃ、ね」


 缶詰。
 ここでは超長期保存が利く食べ物は、通貨代わりとして役立っている。

 

               (interface_guide)
       昔は食べ物を通貨にしているのは多かったんですよ。
         それほど貴重でしたからね。生きるのに。
      中にはチョコレートを通貨にした国もあるぐらいですし。
               (/interface_guide)

 

 へぇ……と、僕は心の中で相づちをうつ。
 でもこれ、お金としては不便じゃない?
 僕は、リスが持っていた缶詰を見る。いや、一個一個なら小さくて持ち運びしやすい。
 僕の手でもつかめる程度のものだ――ものにもよるだろうが。
 しかし、これが二個や三個、十個や二十個になったら、持ち運びは大変だぞ。
 みんながみんな、家を持ってるわけじゃないし。
 中にはずっと旅をし続ける者もいるだろう。
 いくら超長期保存がきくといっても、これじゃ通貨としては。

 

               (interface_guide)
            だから、銀行がありますよ?
               (/interface_guide)

 

 ぎ、銀行?
 僕は目をうたがった。

 

               (interface_guide)
         地下都市全体共通というわけじゃありませんが。
           街を代表する族は大抵、持ってます。
              もちろん、このVもね。
               (/interface_guide)

 

 何でも、彼らは検査をしてあずかる個人の情報を記録すると、念入りに情報を記載し、そして書類を作るのだとか。銀行に食料をあずけた人は、手帳のような紙を渡される。
 そこには、毎日微妙に違ったハンコを押して、
 そう、不便でしょうがないが、利用者は毎日手帳にハンコを押してもらわなきゃいけない。使用者確認のためだ。

 

               (interface_guide)
        地下都市は何でも出来る能力者がいますからね。
        そう、通帳を偽造できる能力者なんて山ほどいます。
          だから、二狗はこちらも能力者を使い、
         ハンコのカタチを変えられる能力者を捜した。
         そして、毎日違ったカタチのハンコを押させる。
               (/interface_guide)

 

 でもさ。
 それって、大変じゃない?
 不便だと思わないのかな。

 

               (interface_guide)
           それしか有力なのはないですからね。
        他にも七番街で大きな銀行代わりの族は存在します。
       ですがそこは、有力な族しか使用できず、一般人はまず無理。
             これは他も同じですね。
                (/interface_guide)

 

 そこもV並に厳しい審査基準があるらしいが――でも、誰でもOKではない。
 本来なら誰でもOKというのは、それほど厳しいのだ。

 

                (interface_guide)
             よくやってると思いますよ。
           ちなみに、一日でもハンコ押せないと。
   缶詰は没収されるし、偽物判定で下手したら捕らえられる可能性もあります。
                (/interface_guide)

 

 僕はぞっとした。
 どんなディストピアなんだか。

 

                (interface_guide)
          これでも地下都市ではユートピアなんですよ。
                (/interface_guide)

 

 047

 

 訓練を終えて、Vの銀行も使えるようにすると――僕はパトロールに参加した。
 いくらVの制服を着てるとはいえ、子供がパトロールして威圧を与えられるのか。

 

                (interface_guide)
              能力者が多いですからね。
             子供でも脅威ではありますよ。
                (/interface_guide)

 

 また、厳しく指導されてるから信頼もあるようだ。
 ……僕も、すごい厳しくされた。
 訓練と言っても短期間だから、となめられるかもしれない。
 だがそれは、ほとんど一睡もできない訓練だった。
 あれは技術云々を教えるというより、心を一人前の兵士にする作業だった。

 

                (interface_guide)
         悪事を犯す奴は死ねって精神でやってますね。
          実際、昔の軍隊ってあんな感じでしたが。
                (/interface_guide)

 

 僕らは二手に分かれてパトロールすることが多かったが。
 団員は多いんだが、それでもこの広大な三番街をくまなく見回ることは難しい。
 そのため、僕ら四人一組のチームも二組になって別行動することがある。

 

「………」

 

 今日はたまたま、アリカだった。
 ……しかし、無口だな。
 この子から、声を聞いたことがあまりない。

 だがそれは、すぐに叶えられそうな未来になった。
 三番街のゲート付近の大通りを歩いていると――僕らは声を掛けられた。


「殺人が起こったんだ!」


 さ、殺人?
 それは、僕らのような子供じゃなく、名探偵な子供に相談してほしかった。

 

 NEXT → 第十七話 「密室殺人 ①」
 

ゴダール映画史(1)読んでた

 ゴダールの映画史を読んでいた。

ゴダール/映画史〈1〉

ゴダール/映画史〈1〉

 

 

 別に、小難しくて底の深いもんでもない……と思う。

 本当はゴダールの映画を全部見てるって奴が読むのだろうが、生憎、近くのレンタルショップじゃ限られるし、図書館でもお前さんはないんだ。ごめんね、『気狂いピエロ』と『勝手にしやがれ』ぐらいしか見てないよ。

 まー、ゴダールなら『勝手にしやがれ』と言うのだろうが。

 

 全部映画を見てなくても、考え方はおもしろいのでつまらなくはない。

 感化と表現。

 何かを取り入れることと、何かを出すこと――この二つが頻繁に登場し、印象的だった。

 それでいて、登場人物をどう描くか。例えば、何気ない街中の日常を映すにしても――と興味深い。アメリカ映画はぐちぐち……トリュフォーはぐちぐち……興味深い。いや、ぐちぐちと言っても押井守ほど言ってはないので、そこまで気分を害することはない。

 たまにはフランス映画の息吹がかかったものが読みたいとなったら――息吹というか、その息吹を吐いた人のを、読んでみればいかがでしょうか。

 

 しかし、うちの近くのレンタルショップ。

 何故か特撮とフランス映画のDVDが疲弊しすぎて、全然見れないのが多いんだよな。

 いや、特撮は子供が見るだろうから分かるけど。

 何故、フランス映画?

 『愛の嵐』単体なら分かるが、何だろうか、小難しいことでも語りたかったのかな。

 

 ともかく、以上。蒼ノ下雷太郎でした。

 した。

今後の予定

 ・ノクターンノベルズに投稿してる『D=GHOST』を毎日更新する。

  で、「7start 2.0」をどうにか引っ張ってもらう。

 

 ・ブログ小説

  これは、火曜日と土日だけ更新。

  いや、毎日更新して二週間くらいか? やっていたから、今は変な感じだけど。

  これも十分タメになったので、やってみる。

  今後は……『i’ll』、ミステリーもからめたら面白いか?

 

 ・カクヨム

 ランキング上位ってのがどういう基準かよく分からないけど……。

 でもまぁ、いずれ拾い上げてもらえると信じて……(ぉ

 一番ランキングの高い『騒音の怪物』。

kakuyomu.jp

 

 ジャンルの総合?

 で、33位だったわけだが。最後見た時は。

 ランキングだけなら心許ないが、しかし、十分他の作品群とは差別化できてると思うのでね。

 拾い上げしてくれるなら……と期待しよう。

 面白いのはできたと思うけど、通過までは分からないのである。

 

 

 

 ・公募

 

 あと、何より他の新人賞にも応募しないとね。

 逆にここまでやってこれたなら、こっちの方が気がラクに思えてきた。

 何だかなぁ、と自分でも思うが。

(ちなみにすでに、ある新人賞に応募した。どうなるかは不明)

 

 

 ま、まだまだこのままじゃ終われない、ということでがんばります。

 蒼ノ下雷太郎でした。